おばすな土佐日記 vol.35 -第4回遍路行-

7:20すぎに船がやってきた。
さっきまでケータイで話していた同行のおじさんが指をさし、「あれだな」とぼそり。

ガッテンだ!
さっき、練習した『巡航船のりますアピール』本番だ。
お杖を振り振りぴょんぴょんジャンプしながら、「のりまーす!2名のりまーす!」と叫ぶ。ここで、気づかれずにスルーされてしまうとかなりの距離を歩かねばならない。おおよそ12キロ。しかし、船だと1時間でたどり着けるのだ。
だから、ここはなんとしても『乗りますアピール』にチカラが入る。

横浪三里巡航船の旅
途中の接待所で、地元のおんちゃんに「歩きへんろが、船に乗ってどうする!」とダメ出しされたけれど、乗っちゃうもんねー。
そもそもこの巡航船のルートは、空海も船で渡った唯一の海のへんろ道であるということを知り、堂々と胸張って船に乗れるのだ。(帰省中の後輩へのクルマ接待強要や、タクシー利用などここんとこちょいと後ろめたかったし・・・)

巡航船の旅。旅情ムード満点・・・。えぇやないですか~。

♪ここはー串本ォ~ 向かいは大島ァ~ 仲をとーりもーつ巡航船ェェン
アラヨイショー ヨーイショヨイショー ヨーイショヨーイーショー♪

ココは串本やないけれど、巡航船つながりで歌いちぎる・・・。
今回の遍路行で、楽しみにしていたコースのひとつである巡航船に、アピール不足で乗りそびれてしまってはなんにもならない。
ワタシは、お杖をさらに激しく振りかざし、さらに高くジャンプして猛烈アピールを続けた。

おぅおぅおぅ!気づいてくれた!船の舳先がコッチへ向いて、猛アピールしている我らの方へ・・・って、おじさんアピールしてへんやん!ちょっとちょっとー!(●`з´●)
我らのいる防波堤(?)の先っちょへ舳先だけを着岸し、そこから跳び乗れとのこと。一歩間違うと海へポッチャーン。コワ~。
恐る恐る跳び乗り、乗船成功!巡航船のドライバーさんは、ちょっと笑ってたけどアピール過剰だったのか?
船室(といっても小さな船だけど)の中は、ランドセルを背負ったコドモや、おへんろさんの先客で満載だ。
あちゃ~。もしかしてワタシの「乗せて、乗せてぇ~」アピールを見られてしまったか。ちょっぴりこっぱずかしい思いで中の方へ進んだ。

先客おへんろさんの中に、高知屋さんで同宿だった、東京からお見えの女性を見つけて、お互いに「わーっ!久しぶりー」とハイタッチ。
高知屋さんからのコースどりをあれこれ話して盛り上がる。たった1日のことなのに、すごく懐かしい気分。

船で通学するなんて、ステキー♪と小学生を眺める。漢字ドリルをやってるコ、おしゃべりに夢中なコなどがいて、ほほえましい。(o^∀^)
そして、学校のある船着場でみんな降りていった。
ドライバーさんに、「ありがとうございましたー」って、ちゃんと挨拶していくおりこうな彼らを見送った。

ずーっと串本節をハミングしながら、波を蹴立てて滑るように走る船からの景色に見とれつつ、巡航船コースのチョイスも正解やったなーとひとりごちた。

# by ke-ko63 | 2009-11-20 17:56 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(3) 

おばすな土佐日記 vol.34 -第4回遍路行-

朝。心地のいい目覚め。顔を洗って歯を磨いて「朝ごはんできましたー」の声に階下へ行くと、すでにへんろ装束のおじさんへんろはお食事中。
「おはようございます。今朝は巡航船日和ですね」なんて、のんきに声をかけると「ゆっくりしてると置いてくよ」と言われ、慌てて「いただきまーす!」

今朝もごちそうだー!
さば(?)のみりん干しがおいしーい。
野菜もたーんと食べられる食事は嬉しい。でっかい梅干(右端にちょこっと写ってます)も、おかみさんお手製だ。すっぱーぃ!
「おいしい、おいしい!朝からしあわせ~♪」とパクパク食べてると、にこにこ笑いながらおかみさんが、「ゆっくり食べてね。巡航船までクルマで送るからね」とな!
あざーっす!
ほんと、このウチのコになりたいよ。こんなにおいしいご飯が毎日三食いただけるなんてこんなシアワセはないなー。
そして、デザートには、おいもとレーズンのコンポート!!
このおかみさん、タダモンではない!朝からこんなオサレーなデザートを作る感性に脱帽だ。

キレーに平らげ、(ごはんはおかわりしましたの。オホホ)「ごちそーさまでしたー」
部屋へ戻り、荷物をまとめてチェックアウト。

息子さんが巡航船乗り場までクルマで送ってくださるという。
クルマのところまで見送ってくださり、「また、いらしてね。」と、どこまでも上品なおかみさん。
「じゃ、握手」と言って、差し出された手はとてもあったかくて柔らかなやさしい手だった。
別れ際に「握手」だなんて・・・。ステキ。
おかみさんは、見えなくなるまで手を振って見送ってくださった。

高知県の女性は、"はちきん"と言われ、それは4人の男性を手玉にとることから、男勝りで負けん気が強く、ダンナの代わりなんてなんぼでもいてると思ってるような女性のことを指すらしい。
その"はちきん"さん達が操る土佐弁は、ヨソ者からすると、キツい言葉に聞こえるし、(それはそれでいいなぁ~って思えます)これまで高知で出会ったおばちゃん達は、たしかに芯の強い、しっかりした方が多かった。

けれど、ここのおかみさんは、物腰も柔らかくコトバもとてもキレイ(土佐弁がどやってワケやのーて)で、上品なのだ。それに、料理がとてもお上手で、おいしいだけでなく、作られるメニューが玄人っぽいのだ。高知のこんなイナカで(失礼!)こんな品のいいおかみさんがいらっしゃることがオドロキだった。

クルマの中で、それとなく息子さんに尋ねてみたが、「そうですかねぇ・・・」という返事だった。「いやいや、とっても素敵なマミーですがな」と思うけどなぁ・・・。

巡航船のりばに到着。
のりばと言っても、それっぽい看板も施設もなく、ゆえに「誰も居なけりゃ通り過ぎてしまう」のだそうだ。
だから、沖の方からやってくる巡航船が見えたら「ワタシ乗りますー!」という意思表示を船から見えるくらい激しくする必要があるのだそうだ。
乗船に関するレクチャーを受け、「んじゃ、お気をつけてー」と去っていかれる息子さんのクルマを見送った。


船がくるまでの間、同行のおじさんは、しきりにどこかへ電話されている。
手持ち無沙汰なワタシは、イカダ方式でなくカゴに入れた牡蠣の養殖(?)を眺めたり、お杖を振り回し、飛び跳ねながら船への乗船アピールの練習をしたりして過ごす。


海は、どこまでもおだやかでゆったりとしている。
こういうところで暮らしていると、きっと人間もゆったりと大らかになれるんだろなー・・・。



# by ke-ko63 | 2009-11-19 13:55 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(3) 

おばすな土佐日記 vol.33 -第4回遍路行-

「お風呂どうぞ~」のお言葉に、さっそく階下の浴室へ・・・。
おへんろにとっての"お風呂"は、ゴチソウだと思う。一日中歩いて(って、タクシー→お迎えクルマと楽チンコースだったけど)クタクタに疲れて宿にたどり着き、そして、よばれるお風呂は、それはそれは極楽浄土への旅立ちのような(って、行ったことないけど)気持ちのよいものなのだ。

が、ここのハイテク風呂にびっくり。
あれこれボタンを押したりするも、シャワーの使い方がわからず、さりとて「すんませーん」と、人を呼ぶわけにも行かず、風呂場でひとり格闘ノコッタノコッタ・・・。
いじくりまわしてるうちに、なんとかシャワーも使えたけれど、すっかり風呂場で一人相撲にくたびれる。
しかし、たっぷり湯船に張られたお湯に浸かると自然と口をついて出てくるのは、日本人なら誰しも「んぁぁあ~っ・・・、ゴクラク、ゴクラクぅ」。
一日の疲れを取り去ってくれるお風呂は、やっぱりゴチソウだ。

さてさて夕飯。
おへんろにとって、お風呂はごちそうだけれどやっぱりナンバー1は、ごはん。特に食い意地では誰にも負けないワタシにとって、「晩御飯なにかな~」と厨房から漂う香りで夕食メニューに思いを馳せるひとときは、ワクワクドキドキなのだ。
「ご飯どうぞ~」の声に、いそいそと階段を下りて行くと、すでに先客。
向かいのお部屋のおじさんだ。

今日は、このおじさんとワタシの二人だけが宿泊とのこと。
目の前には、どどーんとお造りが・・・。そして数々のお料理が並ぶ。
「こ、これ一人前ですか?」と尋ねずにはおれない品数を前に、おじさんとまずはカンパ~イ。

迷い箸は、お行儀が悪いけれど、どれから食べようか迷う~。おいしそ~。
そして、とってもおいしい!
おかみさんが出ていらして、「お味はいかが?」とおっしゃる。
「おいしい!おいしい!もうカンゲキです!」
「テーブルに並んでる食材はみんなウチの畑で採れたもの。さかなも、ウチの海で獲れたものなの」と、いたずらっぽい笑顔で話すおかみさんは、とてもかわいらしい方だ。
『ウチの海』って、なんだかいいなぁ・・・。
ひとつひとつのメニューに心と手間がかかっていて、ほんとにおいしく頂いた。

東京からお見えのおじさんへんろは、これまでずっと通しで歩いてこられたそうで、これまでの武勇伝などをお聞きしながら楽しい夕餉の時間となった。
明日は横波三里を巡航船で行かれるそうで、「じゃ、明日ご一緒させてくださいね」と約束して、大満足な一日は暮れていった。

# by ke-ko63 | 2009-11-18 13:38 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(4) 

おばすな土佐日記 vol.32 -第4回遍路行-

石段ふもとの納経所で、「先に納経していきなさい」と声をかけてくださったお坊さんのお言葉に甘えて納経を済ませ、「さて、それでは心おきなくたっぷりお参りさせていただこう。」と、ザックを担ぎなおして石段アタックスタート。

おぉっ!あらためて見上げると、目の前にそびえる石段は空まで伸びているようなオットロシー石段だ。
序盤こそ、えっちらおっちらのぼっていたけれど、あーこりゃしんど。
全部で170段あるらしいけれど、もっとあるように感じる石段だ。
なんとか登頂に成功すると、出迎えてくれたのは波切不動さん。荒れる波風を刀でバッタバッタとたたッ斬る、海の守り神なのだそうだ。

朝青龍明徳。
そうか!ここ青龍寺から名前をとっただけでなく、下の名前は留学していたすぐ近くの明徳義塾高校からなのか・・・って、今頃気づく。強そうな名前だ。
白鳳に対してヒール役の朝青龍だけれど、横審のあのコワイおばちゃんにいつもイケズ言われてるけど、優等生の白鳳よりも時々スカタンやってしまう朝青龍ってちょっぴり憎めない。


しぶぅい本堂のたたずまいに、うっとりみとれる時間を下さった納経所のお坊さんありがとう。ふたたび石段を下り、売店の店先にあるお接待所で、麦茶をよばれる。2杯立て続けに飲んでると、お店のこどもさんなのか、こちらをじぃーっと見ている。「飲みすぎー」とか思われたのかしら・・・。

「ごちそうさまでした。」と、そのこどもに声をかけてからザックを背負いなおして宿へ向かう。宇佐大橋まで戻れば、宿のご主人がクルマで迎えに来てくださることになっている。

が、宇佐大橋まで遠ぉっ!

この距離はムリでしょー。ぜーったい間に合わんかったよ。歩けど歩けど宇佐大橋は、あーんな向こうにある。さっきのタクシーチョイスは間違ってなかった。うんうん。大正解。
なんて、タクシー利用の言い訳を自分にしながら橋を目指すが、なかなか距離が詰まらない。三陽荘の前を通りかかったあたりで、さっき行き過ぎた軽ワゴンが戻ってきて、ワタシの隣で止まり、運転席のおじさんが「民宿なずなです。はりQさん?」とな!
イヤッホゥ!「さいです、さいです。はりQですー!」

宇佐大橋でしばらく待っていたけれど、なかなか来ないのでこっちまで探しに来てくださったのだそうだ。うわー。すんません。ほんますんません。
自分の時間の見積もりミスで、宿のおじさんにまで心配をかけてしまった。

宇佐大橋を越えて、少し走ったところに『民宿なずな』があった。
出迎えてくださった宿のおにぃさんには、「意外と時間かかりましたねー」と言われる始末。あぁ・・・。

ログハウス風の宿は、ちょっとしたプチホテルのような内装だ。通された2Fの部屋には、ふっかふかのベッドがあって窓からは涼しい風が入る。

ひとまずザックを下ろし、「ふぅ。」と一息ついた。

# by ke-ko63 | 2009-11-17 13:47 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(6) 

おばすな土佐日記 外伝 -第4回遍路行-

秋とは思えないような、べらぼーな汗ばむ陽気な晴天のもと、高知の後輩が立ち上げた、《高知のいいもの届けたい》高知産直市場◆Maccoto◆(まっこと)に借り出され、びっちりコキ使われた11月の7日と8日の2日間。

いや、コキ使われたのは2日だけやなかった。
やれ、値札がない、やれ看板がないなどと知らず知らずのうちにうまぁ~いこと丸め込まれて、どっぷり手伝わされていたここ数日。アタシャ夜なべしてプライスカードを印刷した。それも「まちごーてましたー」とかゆーてやり直しまで・・・(ToT)

や、たしかに、たしかに高知の後輩の熱意、やる気、郷土愛を聞いてると「うんうんえぇこっちゃ!どこまでやれるかわからんが、ヤレヤレ~!」と煽ったのはよかったけれど、自分までどっぷりチームに参加しているとは・・・。

高知のさる料亭の酔狂な会長が開発したと言う『肉まん』を販売することになり、慌てて肉まん蒸し器をオークションで落札するよな慌てよう。
野菜も当日朝に現地に到着するよなドキドキ発注で、「をぃをぃこわいことするなよー」
干物もとりどりに仕入れて、炙って試食に出すつもりで、カセットコンロやフライパンも車に積む。さらには、棚田米の試食販売するのに炊飯器が足らんとか、おかずみそをキュウリに乗っけて試食してもらうからと、包丁も!で、これまたウチから持ち出される始末。
ヨーグルトや、アイス、高知名物リープルなどの乳飲料も仕入れて、現地に到着し、いざ店開きをしてみるとえらいことになった。
「手ぇ広げすぎちゃうのんな?」と聞くと、「おらんくの土地には、もっともっとえぇのがあるきに、こんなでは足りんと思うがよ」とか言ってる始末。

いやいや、アンタがさばけるならば、アタシャなんも言わんがな・・・。
と、先輩の不安な気持ちをほっぽらかしてバタバタと立ち働く後輩。
今回の犠牲者はワタシを含めて6名。もちろん無給。なのにハードワーク。
ま、しかし、お客さんも途切れることなく来てくださって、「これどないして食べるん?」とか「どんな味するん?」とか言われてやりとりするのは、楽しい。
試食コーナーも好評で、2kg入りの米がどんどん売れるさまは、ちょっとカイカン・・・。
そんなこんなで、バタバタしながら呼び込みしたり、「まいどー」とか叫んだりしていると「うちのイベントに来てやってくれませんか」という新規顧客の出現があったりで、わぁわぁゆうてるうちに2日間は終わった。

そして、フシブシの痛みや呼び込みで痛めたノドもやや回復しつつあるここ数日。売れ数予測を誤って大量仕入れした後輩が抱えた在庫の塩ケンピを売り歩くワタシなのであった。

おひとついかが?

# by ke-ko63 | 2009-11-11 17:34 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(6) 

おばすな土佐日記 vol.31 -第4回遍路行-

タクシーで青龍寺に乗りつける自称歩きへんろ。
思い起こせば、徳島の海近くで軽トラのおにぃさんが「乗せてってやる」というのを頑なに固辞したワタシ。
後輩には「クルマで宿まで送れ」と強要し、地元のおじさんのクルマにも喜び勇んで乗っけてもらい、迷子になったのをいいことに高級外車に目をつけて、お接待を打診する。挙句にタクシーでお寺に乗り付けるようになってしまったダメへんろ。あぁ・・・。

とはいえ、今回ばかりは、今回だけは異例中の異例なのだ!どうがんばってみても17時の納経所閉店に間に合わないのだ。悶々としているところへやってきた空車のタクシーは、お大師さんがお遣わしになったに違いない!
そうだ、これは「タクシーに乗ってもかまんがよ」というお大師さんの声なのだ!(お大師さんは讃岐人だったけど)

オノレを納得させたところで、運転手さんの一言が辛辣だった。「歩きゆぅが?お遍路さんはクルマに乗りたがらんと思たち・・・」
あちゃー。すんませーん。
「ま、たまにはえぇが・・・」と言ってくださったけれど。

青龍寺到着。
閉店20分前。見上げるとオットロシー石段が続いている。や、うわさには聞いてたけどこれほどとは・・・。
今から、これを駆け上がって本堂と大師堂でお参りを納め、また石段を駆け下りてきて納経所閉店に間に合うだろーか?(青龍寺の納経所は珍しく境内ではなく、石段の麓にあるのです)

ワタシの前に立ちはだかる強烈な石段。近くにある明徳義塾高校に、在学中だった朝青龍は、この石段で足腰を鍛えたのだという。四股名も、この青龍寺からとったのだそうだ。
横綱ばりの丈夫な足腰のワタシであっても、微妙な時間だ。う~ん・・・。

仁王立ちで石段を仰いで唸っていると、左側からお声がかかった。
「時間~ん一杯です」(うそです。)
「先に納経して行きなさ~い」
すぐ左手の納経所の中から聞こえる若いお坊さんの涼やかな声だった。
スタスタと声の主へ近づき「えぇんですか?」と聞き返す。

納経は、本来お参りを納めたシルシとしていただくものであり、お参り前にいただくのはご法度であると聞いたことがある。中には、お参りもせずに納経所へ直行しそのまま次のお寺へ急ぐスタンプラリーのような人もいると言う。それではありがたみもまったくないではないか。八十八カ所全ての納経がそろった納経帳は高額で取引されている。そんな納経帳に果たしてご利益はあるのだろうか?

そんな思いもあって、お参りに前に納経していただくことに抵抗があった。けれども・・。
そんな微妙な表情をしているワタシの心を見透かしたように「納経が気になって慌ててお参りしても意味がないですからね。落ち着いて、じっくり時間をかけてお参りください。」と言ってくださった。
なるほど。
ワタシは、まだ若いお坊さんのお言葉に素直に従い、先に納経していただくことにした。
納経帳を差し出し、お坊さんのスラスラ動く筆先を見つめながら考える。
そもそも、時間に追われすぎの一日だ。清滝寺を2度往復したことも、自分の不注意からだ。時間が足りずタクシーに乗ったことも、先に納経していただくことも、自分の都合をねじこもうとするからスケジュールにひずみがでてしまうのだ。
もっとおおらかに、一日日程をずらすくらいの気持ちでお参りしないとあかんのとちゃうやろか?
荷物を先に翌日の宿に届けてもらうことも、自分の都合だ。だから、スケジュール変更もしにくくなってしまうのだ。あぁ・・・。

修行の道場 土佐も後半にさしかかったというのに、まだまだ修行が足りんなぁ・・・とため息をついていると、「はい。ゆっくりしっかりお参りしてきてください」と、ニッコリ笑顔のお坊さんが納経帳を手渡してくださった。

ザックを背負いなおし、さて石段をば・・・と思ったところへ、わらわらとお参りの方々がみえた。皆さん一様に焦っておられる。背後から「先に納経しますよー」とお坊さんの声が聞こえた。
アハハ。似たような人ぎょーさんいてはるわ。
「ワタシも今しがた先に納経していただいたとこですねん(*´ー`)」と、ひとりのご婦人に声をかけて会釈をし、「ではお先に。」と石段をのぼりはじめた。

# by ke-ko63 | 2009-11-10 21:43 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(6) 

おばすな土佐日記 vol.30 -第4回遍路行-

トンネル手前の休憩所で小休止。ザックを下ろしながら、振り返ると後方に青い目のシュッとした尼僧さんの姿が・・・。
休憩所には、ノラ猫に餌付けをしているおじさんがいて、これから歩いて17:00の青龍寺に間に合うという。ホンマかなぁ?と思いつつ、清滝寺で親切に声をかけてくださったご婦人が、塚地トンネルを越えればショートカットになるからと教えてくださったのも思い出し、トンネルを通る道をチョイス。

歩道はあるものの、交通量の多いトンネルはクルマの走る音が反響して猛烈な爆音が耳をつんざくし、タオルで鼻と口をふさいではみるものの排ガスが充満していて息苦しい。かなりなスピードで走るクルマの風圧に、しっかりふんばって歩かないとカラダごと持っていかれそうになりながらの800mあまりは、それはそれは恐怖だ。「やっぱトンネルはいややなぁ・・・」と思いながら早足で通り抜けた。

トンネルを抜け出た後、時間が気になる。さらなるスピードアップで歩きながら海まで出て、右折する。左手前方に宇佐大橋が見えてきた。あちゃー、まだあんなに遠いんかいなー。間に合うかこれ・・・。
歩けど歩けど橋は近づいてこない。マジでー!時計は、16:21。アカンむりやわ。橋渡っても、そっから先がまたこれあんがいな道のりだったはず。
宇佐大橋めーっ!

今日、青龍寺にお参りするのをあきらめてしまうと、今後の日程が大きく狂ってしまう。青龍寺にお参りして打戻りで橋のこっち側の宿を予約しているから、一日まるまる予定変更を余儀なくされることになる。スケジュールどおり日程をこなすのが目的ではないけれど、哀しいかな区切り打ちのボンビーへんろにとっての1泊分は、懐ダメージ大なのだ。それに、宿の方が昨夜の高知屋さんに荷物を取りに行ってくださっているはずで、それはすでに今夜の宿に到着してるはずなのだ。

あれやこれやと思いをめぐらせているとところへ、今まで見かけなかったのに1台だけ空車のタクシーがやってくるのが見え、迷いなくスタッと手を上げクルマを止めた。
お接待でクルマに乗せてもらったことはあるけれど、タクシーを止めたのははじめて。いみじくも歩きへんろとしてここまでやってきたけれど、このタイミングはまさにお大師さんの思し召し。渡りに船ならぬ、渡りにタクシーにちがいない!
ここは一発、お大師さんに感謝してクルマに乗り込み、ずーっと歩き尽くめで疲れた体をシートに埋めた。

# by ke-ko63 | 2009-11-09 15:59 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(2) 

おばすな土佐日記 vol.29 -第4回遍路行-

清滝寺から今度こそ忘れ物がないように下りてくる。
途中で声をかけてくださったご婦人が、「今から青龍寺?行ける行ける!」とおっしゃっていたが、「その前に、下ったところに水車がある休憩所でゆっくりしてから行くといい」と教わったとおり、前方右手に水車が見えた。
おっ!その隣に"うどん"のノボリが・・・。そーいえば、ハラへった。このタイミングで好物のうどんとは、なんたるラッキー。

急いで、その大きな休憩所に駆け込み、うどんやのドアの前に立つ。が、ワタシのハラが減りすぎてなのか自動ドアが開かない。
「そ、そないに軽るなったんか?」と、ちょっと喜んだが、よくよく見ると『定休日』の札がぶら下がっていた。どうりで・・・。チッ(`ヘ´)


なーんで、今日に限って定休日なのよー。と叫んでもドアが開くわけもなく・・・。向かいにあった雑貨やさんで、アイスを買い、表のベンチで食べる。
そうそう、昨日買ったパンがあったはず。
ニコニコパン。ハラが減ってしょんぼりしてたので、景気づけにうってつけのネーミングやなこのパン。間にサンドされたクリームに砂糖がまぶしてあるようで、じゃりじゃりとした舌触りが安もんチックな味で美味。マメへんろさんに頂いたお茶で流し込む。

さてと。
青龍寺に向かうとするか。

重い腰をあげて、トボトボ歩き出すも、来た道と違う道を歩いていることにちょっと不安を覚えながら、それでも地図に従って歩いていると、とうとう迷ってしまった。「ここどこー!地図のうそつきー!」

住宅街に入り込んでしまい、あきらかに道まちごーてしもた。地図をぐるぐる回しながら、なんとなく青龍寺のにおいがしそうな方向に向いて歩いていると、ガレージで誰もが知ってる高級外車をピカピカに磨いているオジサマと目が合った。
トコトコと近づいてって、地図を示し目指す方向を尋ねた。(ここで、ワタシのアクドイ計算がなかったと言えばウソになります)
しばらく地図を眺めていたオジサマは、「歩いていくとねー・・・。うーん・・・。」方向的には、アッチの方なんだけどねぇ・・・と、あさっての方向を指し示す。
しばらく不毛なやりとりを繰り返すも、オジサマも地元の方ではなさそうで、ゆえに地理に疎いのか?誰もが知ってる高級外車に乗ってるのにぃー?!

とうとう「もうちょっと行ったら商店街があるからそこで聞いてみたら」と、あぁ無情・・・。
あえなく外車のお接待作戦失敗。むぅ・・・。

オジサマがにこやかに手を振って見送ってくれるが、あぁ、きっといい人なんだろーけどちょっと鈍いのか、もしくはピカピカに拭きあげた自慢の外車にどろどろに疲れたおへんろを乗せたくなかったのか・・・。
いや、そもそもクルマのお接待に慣れっこになりつつあるワタシへの「そうやすやすとお接待してもらおーなんてアカンよー」というお大師さんのアッカンベーなのかもしれない。

その後、商店街にある、とても親切な花屋のおねぃさんに道を教わり、地図のルートに戻ることができた。

ここいらは生姜を栽培している農家が多いのか、いちめん生姜の青々とした草原のようだ。
生姜って、こんなふうになってるんやー。へー。
畑にへたりこんで、つんつん伸びてる葉っぱの根本にモリッとした塊がチロッと覗いている、これが生姜なのだ。しらなんだー。

花屋のおねぃさんは「○○神社を目指して歩いてね」と教えてくださった。
「○○神社、○○神社・・・○○ジンジャー・・・」と即興のウソウタを歌いながら歩く。青龍寺まではまだまだ遠い…。

# by ke-ko63 | 2009-11-06 23:30 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(6) 

おばすな土佐日記 vol.28 -第4回遍路行-

納経所をあとにして、ごきげんに石段を下ってゆく。
のぼりがあんなけしんどかった坂道も、下り坂だとらっくらく~♪
ほいっほいっほいっ と調子よく下り、のぼりの時に見た『お遍路さんファイト!』のプラカードに「あばよー」と手をふり、ずんずん下りてゆく…。ん?なんか胸騒ぎ…。ナニナニ?

立ち止まって考える。納経所で、納経してもらって…。「あ゛~っ!」
慌ててザックを下ろし、納経帳を取り出す。間に挟んでる"はず"の『御影』を確かめる。
血圧が急上昇、脈拍も打ちまくり、汗がダクダクとでてくる。

「ない!」
うそ~ん。
パラパラと納経帳をめくるが、もらった記憶がないのだ、あるはずがない。
がーん…。

絶好調で下ってきたのに。こんなに下ってきたのに・・・。
あとから下ってこられたご婦人が、ボーゼンと立ちすくむワタシに「どうかされたの?」と声をかけてくださった。
状況を説明すると、たいそう気の毒がってくださり、下に車を置いてきているから一緒に下って車でお寺まで行きましょう。と、おっしゃってくださった。ご婦人も歩きで四国を回られたことがあるそうで、「大変さがわかるのよ」と、しきりに同情してくださる。
涙が出るほどうれしいご提案だが、それじゃあまりにもったいない。もとはといえば、ぼっさりしていたワタシのうっかりなのだ。ほんとにほんとにありがたいお言葉だけれど、これは甘えてはイカンなと、そのままお話しして、お気持ちだけ頂いた。
「ほんとにいいのよ。車で行っても…」と言ってくださるけれど、ほんとに、ほんとにありがとうございます。でも、自分のミスですから…。お声をかけてくださってありがとうございます。

「じゃ!」と手を振って、いま下ってきた道を駆け上がる。
人さまのご親切に感謝する。声をかけてくださったことで、がっくりレベルがちょっと盛り返した。つーか、元気でてきたでー!
再び見る『お遍路さんファイト!』のプラカードに「はいなー」と投げキッスをしながら…。

山門のところで、マメへんろさんに再会。「あら、今頃?」と聞かれ、またここでこっぱずかしいうっかりミスの話をする。気の毒に思われたのだろう「お接待でもらったから」と、ペットボトルのお茶をくださった。
今度は、しっかり御影を納経帳にはさみ、再び石段を下ってゆく。
清滝寺。たぶん忘れませんぞ…。

清滝寺は、急な山道を登りきったところから石段がはじまり、山門をくぐると本堂のあるエリアまで「これでもかー!」な石段がつづくのです。帰りはひざの笑いがとまりませなんだ。

# by ke-ko63 | 2009-11-05 22:48 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(4) 

おばすな土佐日記 vol.27 -第4回遍路行-

9時過ぎに種間寺でマメへんろさんと別れ、歩き始めてしばらく。
鯛?がチューしてる飾りのついた小さな神社の前を通る。たぶん、大漁祈願で奉納したのかな?なんて勝手に想像しつつ先を急ぐ。

仁淀川にさしかかる手前にあった、"地元老人"によるステキ看板に従って歩く。ん?"さんずい"忘れでしょうか?それともクイズ?
「さんずいのあるなしで、よく似てる二つのお寺やなー」


川面に雲が映り込んできれいやなー なんてのんきに歩く。
川を渡って、しばらく堤防沿いに歩いていると、おっ!みねん寺でお見かけしたブルーアイのシュッとした尼さんを発見。彼女もあれからずっと歩いてるんだなーと思うと、駆け寄って握手したくなったけれど、地面にへたりこんで、なんだかモッチリしたものをほおばっていたので遠慮する。会釈だけしてスルー。

11時。国道沿いのモスバーガーにて全力で休憩する。
清滝寺目指すおへんろが通る道だろうに、モスのおねぃさんは明らかに「ゲッ」てな顔で迎え入れてくれた。
水を2杯所望し、コーラLサイズをオーダー。それぞれ一気に飲み干す。
家族連れが、チラチラとこっちを見るが目線を合わせようとしない。おへんろがめずらしーんかな?それとも、全力でぐったりしているおへんろが珍しいのか?たぶん後者のほうだろう。

店を出て、地図に従い歩く。途中、タクシー会社の事務所に立ち寄り、道を確認。田んぼの中をつっきっていけばいいとのこと。はーい。(^^)/
稲穂がみのっちょるねー♪刈入れ待ちやねー「あーるこーっ、あーるーこーっ わたっしはーげーんきー♪」今回この歌がテーマソングみたく、よく口ずさんでいるのだけれど、この先の歌詞を知らないので、このフレーズばかりをエンドレスで歌う。

清滝寺への山道。
「ここがちょいとしんどい。特に最後の最後の登りがググッと急坂だからね。」そうマメへんろさんに教わっていた山道だ。しかし、しばらく国道のアスファルト道を歩いてきたので、土の感触が足にやわらかくて気持ちがいい。

ずいずい登ってゆく。「しんどい」というのはこのことか!息が上がる。ハヒーハヒー。最後の最後に行く前から、かなりな急坂なんですけど・・・と思いながら登っていると、分岐している道にいきあたり、左の道がへんろ道のようだ。
そこにぶら下がっていた札には『お遍路さんファイト!』のメッセージが・・・。
見上げると、坂道がさらにググッと急になっている。あちゃー。
「ファイト!て励まされたかて、たいがいこれまでがんばってきましてんでー。」とつぶやきつつ、急坂を登る。ぐはー。しんどー。まだかー。

やっと山門が見え、手前の石段をガシガシのぼっていき、やっと清滝寺到着。マメへんろさんのおっしゃったそのままのしんどさだ。しばらくはひざに手をつき、ぜーぜーいいながら息を整える。

お参りを納め、境内を散策する。
本堂前にいらっしゃる、高さ15mの巨大薬師如来像のお顔をしげしげと眺めていると、足元から中に入っていけるようになっており、"薬師如来さんのからだの中をぐるぅと巡ってでてくるとご利益がある"と書いてある看板を見つけた。

ちょうどでてきた人が、そこそこ太っちょさんだったので、ならばワタシも途中でつっかえてでてこれなくなることはないなと、『初胎内巡り』アタックを決めた。

で、一歩足を踏み入れると「く、暗ッ」
「なんも見えんがな・・・。暗いよー、恐いよー」
足元は、段差は低いが細かい階段状になっているようだ。まっすぐ歩けないので、手さぐり、足さぐりのへっぴり腰で前へ進む。

"何も見えない"ことがこれほど恐いとは・・・。暗闇の恐怖。もうあらゆるオトロシー妄想が頭の中を駆け巡る。
『足元の階段がスコーンと抜けて、「あ~れぇ~」てな感じで地下に落下する自分の図』や、『闇からニュゥッと出てきた手に肩をガシッと掴まれて声も出ない自分の図』や『歩いても歩いても外に出られず薬師如来さんの胎内をずーっと回り続ける自分の図』などの妄想をすればするほど恐怖が増してくる。コワー。

まっくろけのけー オーヤ まっくろけーのけー♪
恐怖が最高潮に達すると人間ちょっとオカシくなるみたい。まっくろけ節を歌いながら(といってもここのお囃子部分だけ)前へ進むと、ぼんやり明るいところへ出た。
「うわーっ!これはこれでコワイがなー」
祭壇のようになっていて、灯明のあかりだった。お守りも販売されているけれど、サイフを取り出して・・・なんて余裕はない。片手で拝んで「すんませんッ」と、そのまま前へ進む。

そこから外へはすぐだった。明るい!ヤッター。ジャジャーン生まれましたー!
お日ぃさんのありがたさをしみじみ感じる。明るいってバンザーイ!♪ヽ(*´∀`)ノ
夜があって、朝がくる。
バーチャンが生きてた頃、朝目が覚めて、まずお日ぃさんに拍手打って拝んでいた気持ちが、ほんの少しわかったような気がした。

# by ke-ko63 | 2009-11-05 12:25 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(6) 

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