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雪中行軍 宇和の彷徨-2010年越し遍路11-

へんろ道の歯長峠には、鎖場があると聞かされていた。
「もう、這うようにして登っていかないと…。楽しみだねぇ…」と、ニヤニヤしながら教えてくださるへんろの先輩方のアドバイスを、ビビりながら拝聴したものだ。
しかし。
『雪の中を鎖にしがみついて這い登るへんろの図』は、なるほど絵になるかもしれんけど、もしなんぞあった時に白装束に降り積もる雪で発見が遅れ、そして春の雪解けとともに『鎖にしがみついたままカチコチに凍ったへんろ』が発見されるというのは、ちょっといただけない。

今回は、県道を雪の溶けてるところを探しつつ歩くことにした。
山を削って作られたアスファルト道は、ずっとのぼりが続く。溶けてるところみっけ!とうっかり足を入れるとツルーンと滑ってしまう。日がさしてきて表面は溶けていても地面に近いところはアイスバーンなのだ。
恐る恐る足を踏み入れつつ、細かく刻んで歩くためか、普段使わない筋肉も総動員しての雪中行軍に、すでにモモ裏辺りに違和感発生。

のぼりがあればくだりもあるさ。
あれは、ウソやね。行けども行けどものぼり。平坦になったかと思っても、またすぐのぼり…。なのでモモ裏の違和感は増すばかり…。
休憩するにも、車の走る県道の路肩は狭く、腰をおろせるようなところはない。いや、この寒さに立ち止まるのはおろか腰をおろすなんてできやしない。

お日ぃさんが射したと思えば、またすぐ雪雲が覆い隠し大粒の雪が横殴りに吹きつける。
雪道のせいで、歩幅が極端に狭くなり歩いても歩いてもなかなか前に進まない。亀の歩み、一人牛歩…。距離が出ないために気が焦る。
そんなこんなで1時間半ほど歩いていただろうか。
横を走り抜ける車のうちの一台が、ひっかえして来て止まった。「乗りますか?」

「はいっ!お願いしますっ!」もちろん即答だ。

ヒーターのきいたぽかぽかの車内。体中のカチコチにかたまった筋肉ごと溶けていくような至福の空間に、意識もとろけそうになる。
愛媛県でも、ここいらは玄界灘から吹きこんでくる風がモロに当たる場所ゆえ、毎年雪はそこそこ降るのだそうだ。
(そういえば、走ってる車のほとんどが冬タイヤ履いてたし、スリップしてる車なんて1台もなかったワ。)改めて、自分のリサーチ不足を思い知る。

親切なおじさんに、どんぶり館まで送っていただいた。
降り際に納め札をお渡ししたいと思ったけれど、後部座席に置いたザックの底。でも、このおじさんに拾ってもらわなければ、山を越えるのはとっぷり日が暮れてしまっていたかもしれない。
「助かったー。ありがとうございます。」という気持ちをなんとかおじさんに伝えなければ!

そうだ!
ズボンのポケットをさぐっているワタシに、おじさんは「いいよいいよ。お金は要らない。お接待だからね。(*^-^)ノシ」とおっしゃった。
「いや、これしかなくてごめんなさい。」と、ポケットにあったのど飴3つをおじさんに差し出した途端、二人して顔を見合わせて「プーッ」と吹き出した。

「アッハッハ。ありがとう、ありがとう。じゃ、遠慮なく・・・」
そういって、おじさんは飴ちゃんを受け取ってくださった。
「気をつけて行きなさいねー。」と言い、走っていくおじさんの車に手を振って一礼。
ほんまのほんまに助かりました。あのまま雪道を歩き続けられたかどうか・・・。いや、たぶん無理だったかも。おかげさまで助かりました。ありがとうございました。

う~っさむっ。あまりの寒さに身震いする。
吐く息が白い。さて、ちょっと遅いお昼にしよう。

by ke-ko63 | 2011-02-08 22:29 | お遍路に行きたい | Comments(4)  

Commented by とっと at 2011-02-09 18:49 x
や~~~っと復活!!

ばんざい \(~~)/

これから怒涛の更新ですか (^^)v
Commented by ke-ko63 at 2011-02-09 21:50
>とっとさん
すいません、すいません・・・
ドトーは、ちょっと・・・(^_^;)
でも、ありがとうございます。
Commented by 八咫烏 at 2011-02-09 22:15 x
「どんぶり館」まで送っていただいた、という事は、雪中行軍グルメ旅の始まりですね。
暖かい物、食べて下さい。
Commented by ke-ko63 at 2011-02-10 22:32
>八咫烏さん
グルメ旅。あぁ・・・。号泣。
期待を裏切りまくりですいません・・
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