先達さんにモリスエさんのメールの件を話し、「じゃあ一緒に夕飯を…」ということで今いる場所をメールすると、間もなくモリスエさんはやってきた。
モリスエさんは、クルマで四国を回っておられるので歩き遍路が珍しいのかもしれない。あれこれと質問を投げかける。そして、それに的確に答える先達さん。
そのたびに、「へぇぇ~。なるほど~」と上手に感心されるので、先達さんの小鼻は膨らみっぱなしだ。
4人がけのテーブルに横並びに先達さんとモリスエさん、先達さんの対面にワタシという席次での楽しいへんろよもやま話のはずが、出たコレ、先達さんの悪い癖である、"話に夢中になると周り見えなくなりますねん病"だ。
丸亀名物骨付鳥『一鶴』では、骨付鳥に二種類あり、引き締まった弾力のある食感が味わい深いオヤ(ドリ)と、柔らかい肉質でジューシーなヒナ(ドリ)は、人によって好みが分かれるのだそうだ。
モリスエさん到着前に、それらのウンチクを聞かされ「だったら食べ比べしたいから両方頼みましょう」で、オヤとヒナを発注していた。
それらがテーブルに置かれた後、おもむろにポケットからナイフを取り出した先達さんは、両方を楽しめるようにナイフで肉を適当な大きさにカットして下さっていた。

※骨付鳥、けっこうデカいんです。これをみなさん手に持ってわしわしカブリついてるんです。店内いたるところにギャートルズです。
※錦糸卵が美しいのは、とりめし。味は…いや、ほら食べてないからわからないんですよぅ。・゚・(ノД`)・゚・。モリスエさんのための"へんろ相談室"は、相変わらず二人で盛り上がっていて、先達さんの得意満面な表情が少々鼻につく。モリスエさんの、褒め殺しも罪だ。
横並びに座っていた二人は、いつしか対面のワタシの存在など無視して、体を90°ねじって向かい合わせにしゃべるようになった。
そして、食べやすいサイズにカットされたオヤもヒナも話に夢中になるあまり、ワタシが手を出すスキもなく、あっという間に平らげる先達さん。
ハナシには入れてもらえないわ、食べるものはなくなるわで散々な最終日のディナー。
ビジネス旅館小松のディナーを思い出した。あの時も、ワタシは大テーブルの中で一人ぼっちにされたのだった。
学習せん人やなぁ…。小松旅館の件でずいぶんワタシにブーたれられたのに、ハナシが好きなのにもほどがあるやろっちゅーねん!
懲りへんやっちゃで…。
と、思ってムッカーときた。
けれど、なんだか可笑しくなってきた。どんなけ話好きやねん!って思うと…。
それに、先達さんは最終日にへんろ話で意気投合できる人と出会えて嬉しいに違いない。ワタシといえば、文句言ったりスネたり休憩したがったり不機嫌になったりばかりで、おおよそ先達さんの望む"へんろ話のできる相手"ではないのだ。
絶妙の間合いでうなずいたり、感心のため息をもらすモリスエさんと、弾む会話にに相変わらずワタシをほったらかしにしていることさえ気づかない先達さんを交互に見ながら、先達さんにとっての今回のへんろ行とは、どういうものだったのだろうか?などとぼんやり考えていると、モリスエさんが「あっ!もう宿坊の門限なので戻ります。ありがとうございましたっ」と帰っていかれた。
で、やっとほったらかしにしていたワタシに何事もなかったように向き直り、「ね?オヤもヒナもうまいでしょ?でも、ヒナの方が好きかなぁ…」なんて言ってる。
「ちゃうちゃう、あんたがみぃーんな食べちゃったのよ!」と思ったけど、バツ悪そうにしているから堪忍します。
時間をずらしたのがよかったのか、帰りの高速は特に混雑もなくスムースに大阪へ到着した。
最寄りの駅で降ろしてもらい、手を振って見送る。ありがとうございました。
いろいろほんとにお世話になりました。
ひとりで歩くこともいいけれど、いや、ひとりがいいのかもしれないけれど、でも、ひとりだったらきっと気づかないこと、考えないことなどいろいろ思うことが多かった同行トリオのへんろ行。「次はいつ行きましょうかね?」と言って下さった先達さんは、懲りてないのかな?ね?と、もう一人のメンバーでもあるお大師っさんに訊ねたい気分だった。
おしまい