死ぬということ

病院で寝泊まりするようになって7週間。
同じフロアから送り出すのを見るのはこれで3人目だ。

深夜にエレベータが何度も到着し、人の動きが慌ただしく、そして忍び泣くお身内の方々の声や、頭まですっぽりシーツでくるまれ運ばれていく無言の担架、いつの間にか個室の名札が空っぽになり、開け放たれた部屋の掃除をする看護師の姿…。

病院は、いつも『死』と背中合わせなのだ。

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ついさっき相部屋のばーさんが、亡くなったようだ。
ずいぶんご高齢なわりに、お達者で、夜中になると家族を呼ぶ雄叫びがフロア中に響いていた。それがここ数日すっかりおとなしくなってしまって心配だった。

22時過ぎに個室へ移動していったのをカーテン越しに見ていて、ちょっと前に自分も同じ状況で個室へ移ったのを思い出していた。
相部屋から個室へ移るということは、いよいよそういうことなのか、覚悟を決めかねながら個室へ入ったのだったっけ。

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ばーさんがまだ同室にいる頃、見舞いに来ていた娘さん(推定60代)は「今日か明日か?」と看護師にせっついて困らせていた。今朝、早起きしてるので今日いっぱいもちそうなら明日出直すけれど…ということらしい。
「ばーちゃん、今日は死んだらあかんよ」と声をかけていた。明日ならいいのか?
ひどい話だ。

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『死』は、いずれ誰にもやってくる。

人生の終焉をいかに過ごすか、いかに看取られるか。
そもそもそれらの方法を選択することができるのだろうか?

今、また娘さんがこの部屋へ入ってきて他にも寝ている病人におかまいなしに荷物をまとめはじめたようだ。はやっ!
「このオムツは親戚の誰かにあげたらえぇな」「テレビカード忘れず取り出しておいてや返金してもらうから」そんなことをお身内のどなたかと話しながら…。

夜中じゅうフロアに響く声でばーさんが呼んでいたのは、この娘さんなのだ。

ばーさん知ってた?

夜中の雄叫びのせいでなかなか眠らせてもらえなかったけれど、今は、ばーさんが不憫でならない。

ばーさん、お疲れ様でした。安らかに…。
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by ke-ko63 | 2012-02-24 06:30 | さみしーもん | Trackback | Comments(8)  

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Commented by mikeblog at 2012-02-24 10:41
そうですね。死ぬということは悲しいことです。そういえば私も歳を取ってきたから昔々若い時に周りで元気でいた人たちが亡くなってしまっています。それも普通のことなのかな。まるで平家物語の諸行無常の世界だな、と。他人のことではなくて自分がどうやってその時を迎えるか・・・でもそれが分からないから毎日をノホホンと生きていられるのだとも言うし。一番思うことは今の車は取りあえず13年乗ってそのあとが人生最後の車になるだろうから何を買うか、そんなことを考えているのです。スーパーに行ってよその車を見てアレがいいかコレがいいかなんて。不謹慎で現実的ですね。
Commented by 桃 ぶどう at 2012-02-24 10:49 x
若い頃 性と、違った~ 生と死の間で働いていました。
色んな迎える形がありますね。

はりQさんは御ひとりで看病されているのですか?
闘病生活は本人も家族も大変です。持久戦です。
時々、おひさんをイッパイ浴びて背伸びをして、自分の体も心も大事にしてください^^
Commented by モモの親方 at 2012-02-24 11:08 x
私自身が入院中に全く々経験をしましたし、
ちょうど1年前に親父を病院で看取りました、
職場に連絡があってすぐに向かったとき、
心電図はフラットになっていましたが、まだ体温はありました。
担当医から 「ご臨終です」 と言われたのは最後の確認でした。

10年間の在宅介護と5日間の入院が終止符を打ちました。
覚悟はしていましたが、いざそのときがくると、あっけないものです。

介護される側より、する側のほうのケアが大切だ。
そう言われていた言葉を、今は他の人に伝えています。
Commented by biwakokayo at 2012-02-25 22:10 x
病院はいろいろなことが見えますね。
そこにいるだけでストレスがたまりそうです。
実際、高齢の母は入院中はどうなることかと思うほど
精神的におかしくなりました。
現在は環境の良い施設に入れて、元通りに元気になりました。
おしゃれもするようになり、私はとてもうれしいです。

無理をなさらず・・・・
元気になって楽しんでください。
Commented by ke-ko63 at 2012-02-25 23:51
>ミケさん
毎年、今ぐらいの時季になると思うのが「桜はあと何回見ることができるかなー」ってことです。
人生の幕引きは突然やってきたりもするわけで、こればかりはどうしようもありません。
だからこそ、もっとうまいもん食べたいし、もっとうまい酒呑みたいし、もっとオモロイことしたいと思うんですよね。

病院暮らしで極度の睡眠不足で、ちょっと用があって帰宅する途中ついウトウトしてオカマ掘りました。
「次乗り換えるならこのクルマいいなぁ~」って思ってたクルマにです。
そういう経緯から、買い替えリストから脱落していく車種もあります。
双方怪我なしで不幸中の幸いですけどね。
とにかく寝れるときは寝ろってことです。実感したのは…
Commented by ke-ko63 at 2012-02-25 23:54
>桃 ぶどうさん
主治医は四六時中ついててほしい と言い、看護師さんは、こっちで面倒みますからと言い、双方のコミュニケーションがうまくいっていません。
ワタシの性格的な問題もあって、人に任せられないってのもあります。
でも、疲れました。肉体よりも気持ち的に…
Commented by ke-ko63 at 2012-02-26 00:01
>モモの親方さん
介護うつ ってのがテレビで取り上げられていて、他人ごとだと思ってたけれどいちいち納得できることもあったりで、ヤバイなぁ…と内心危惧しております。
主治医に「娘さん、おかあさんも頑張ってるんだからがんばってよ」と言われ、ワタシ頑張ってないの?頑張りが足りないの?と思うと泣けてきました。
日々機嫌よくお互いが過ごせるためにはどうしたらいいのかを考えて、環境を変えるべき時かなと思い始めてます。いや、アクションも起こしてます。
病院にとっては大勢の中の一人の患者でも、家族にとってはかけがえのない一人なんですものね。
また、よかったらアドバイスください。
Commented by ke-ko63 at 2012-02-26 00:06
>biwakokayoさん
几帳面だった母が、まるで別人のようになり、時折娘のワタシを理解出来ない時があります。妄想話も多くて、その内容が結構おもしろくてうまく話をあわせてつきあってはいるものの、本来の母はどこへ行ってしまったのかと思うと切なくなります。
病気のせいで一時的な混乱からくるもの という主治医の見解ですが、じゃあいつまで続くのか?と聞くと答えは返ってきません。

お母様そうなんですね。
やはり、思い切って環境を変えるということを検討しています。
せっかく助かった命です。ムダな時間を過ごすほど時間的な余裕はないのですから…。

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