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最御崎寺の先にあるもの その2 -年越し遍路行29-

最御崎寺の先にあるもの その2 -年越し遍路行29-_e0008223_1343573.jpg室戸在住60年(勝手に決定)のおばちゃんに教えられたとおり、最御崎寺を出て室戸スカイラインを山手にずんずんのぼる。ずんずんずんずんのぼる。
のぼっちゃうよー。どんどんのぼっちゃうよー。いつもより多めにのぼっちゃうよー。なんたってお正月、ハリキッてのぼっちゃうよー。

しかし誰もワタシの後ろに続いてこないし、ワタシの前にも誰もいない。
時折ブォォ~とクルマが追い越していくだけで、行けども行けどものぼりは続く。
さすがに不安になってくる、そういえばへんろ道を示すプラカードもみかけない。
「ほんまにこっちでおーてんの?」と思っても、人がいないので尋ねようもない。とにかく上まで行ってみないと...。

最御崎寺の先にあるもの その2 -年越し遍路行29-_e0008223_1363271.jpg大きな塔が見えてきた。ある!あそこにきっとなんかある!
ここまできてもうワタシの選んだ道はまちがいなくまちがっていることに確信をもちつつも、誰でもいいから"人"と対面したくてのぼる。

広場みたいなところに出た。公衆トイレの建物の横にバイクにまたがったおにぃさんを発見!
「す、す、すいませーん。あのぅ、この道って津照寺に向かってますか?」と地図を広げておにぃさんに駆け寄ると、ヘルメットを脱いだおにぃさんはなかなかのハンサムガイ。
(バイクで四国を走ってはるんや、この人なら適切なアドバイスをしてくれそー。さぁ、ワタシの行く道を教えておくれ~)
すがるような気持ちでおにぃさんを見つめていると、ポケットから折りたたまれた地図を広げて見せてくれた。

ガ━━━(゚ロ゚;)━━ン!!

ハンサムバイクが目の前に広げた地図は、四国全土の地図。デカイ。デカすぎるのだ。大まかすぎるのだ。
そしてハンサムバイクは、「ボクもあまりよくわからないまま走ってるんですよ。アハハ」とのたもーた。
(アカンやん。ハンサムやのに...バイクやのに地理がわからんまま走るってアータ。)
ハンサムバイクは、「今、そこのトイレを掃除してるおじさんがいたから、そのおじさんに聞いてみたらわかるんじゃないですか?」と、ま、ある意味適切なアドバイスをしてくれた。
振り返ると、ちょうど作業着を着たじーちゃんがバケツ片手に建物から出てきたところだった。

「あ、あのぅ...。ワタシ最御崎寺からこの道を歩いてるつもりなんですがまちがってませんか?」と自分の地図を広げながらじーちゃんに尋ねると、しばらく地図を眺めたあと「ちがう。あんたはこの道やのうて、この山へ登る道を歩いておるんや」

ガ━━━(゚ロ゚;)━━ン!!

うすうす感づいてはいたが、やはり...。
「あんたな、もうこの辺りまで上ってきておるから、元の道へ戻るよりこのまま山越えして津照寺さんへ行くといい。時間的にかわらんよ。ココから15分ほどで着くわ」と地図の上を指でなぞってオススメルートを指し示してくれる。
や、山越えー?なんスか?それ...。
予想外の道をこのまま進めとおっしゃるじーちゃん。

(そんな未知の道を歩くなんて恐ろしいと反対するワタシに、このままずっと舗装された道だから何も心配するこたぁないと断言するじーちゃん。今頃になって、"室戸在住60年(勝手に決定)"おばちゃんを恨めしく思う。思ったところで後の祭り。これもお大師さんのお導きなのか?だとしたらせっしょだっせー。そもそも考えたらわかることだ、山手にのぼるなんてルート的にもおかしいってなんで思わななんだ自分。自業自得だ。"室戸在住60年"(決めつけ)おばちゃんのせいじゃないよ。まったく。あぁ~ぁ。)てなアレやコレやが頭の中をぐぅるぐる駆け巡る。

最御崎寺の先にあるもの その2 -年越し遍路行29-_e0008223_1344222.jpg室戸スカイラインをずっとのぼり続けてかなり足も痛い。それ以上に精神的ショックによるダメージで半ば放心状態のワタシを見て、じーちゃんオススメルートの途中までクルマで送ってやるとおっしゃる。今思えばありがたい。ありがたいんだけれど、当時のワタシは(んなわけわからん道の途中でほっぽりだされても...)なんて思っていて、頑なに「や、いいです。わかる道じゃないと不安だし、元の道まで戻ります。歩いてきた道が間違ってるってことだけでもわかってよかったです。」と言い張っていた。
が、ホントのところ、もうクタクタで歩きたくなかったワタシは、じーちゃんの言う「"途中まで送ってもらうプラン"でもいいや」なんてバチあたりなことを考え、じーちゃんが仕事も途中なのに、乗せてくれるというので言うことを聞くことにした。

ハンサムバイクは、ワタシの行く末を確かめたあと「よかったねー」と言いおいてバイクで下っていった。カレのズボンのポケットには折りたたまれた四国全土の地図がしっかり収納されていた。

by ke-ko63 | 2009-02-10 12:37 | お遍路に行きたい | Comments(2)  

Commented by コイケダ at 2009-02-10 14:16 x
お疲れさんどす~☆
証拠はないけど、地元の人って案外「へんろ道」知らはらへんで、「クルマで行ったことある道」を教えてくれはったりするような気がする・・・
あと、これは確信持って言うけど、地元の人の「すぐそこ!」は鵜呑みにせんほうがエエ。嘘を言うてはるワケちゃうんやろうけど、歩きへんろにとっては全然「すぐそこ」じゃない場合も多々ありやした(--;
Commented by ke-ko63 at 2009-02-11 08:49
>コイケダねーさん
ハハハ。今回クルマで送ってくれたじーちゃんも「歩いても15分」って言ってたけど実際はクルマでも20分ほどかかったのですな。
徳島で泊まった宿のご主人は、「どこへ行くのもクルマだから足腰はアンタら都会の人の方が強いよ、きっと。」って言ってました。
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