おばすな土佐日記09→10 年またぎ遍路行 vol.2
次第に空が明るくなってくる。
昨夜は夜行バスで一睡もしていないからか、なんだか歩いていてもふわふわしているような感じだ。
片坂峠にはいる。
おっと、いきなりのへんろ道だ。山道にどんどん分け入っていくのはいいけれど、なんとなくケモノ臭がするのは気のせいだろうか?いや、寝てないことによるハイなテンションがそんな臭いを嗅ぎ取った。
遍路行を重ねても、やはり山道はちょっと恐い。しばし立ち止まって耳を澄ませても何も音がしないし、前にも後ろには人がいない。足元には、あきらかになにかケモノの排泄物がポツポツポロロンと転がっているのだ。ケモノ臭とケモノふん。決定的だ。なんかおるやろここーっ!
こうなると、もうコワイコワイ。走るにも山道の足元は悪く、うっかり足を滑らせて・・・なんて、ケモノの餌食最短コースじゃんか!
ビクビクしだすと、カサカサっと風に揺すぶられる葉っぱのこすれる音にも「ひぇぇ~」
こわいけど走れない、こわいからこそ確実に一歩一歩踏みしめながらゆっくり歩かないと・・・。
そんなとき、ふと思い出したのが、テレビで見た大峰山修験道を歩く行者たちが自分達を鼓舞するため(?)に、唱える呪文(?)だ。
懺悔懺悔六根清浄。
声に出してみる。
さぁ~んげさんげ~ ろっこんしょうじょー さぁ~んげさんげっ ろっこんしょーじょっ・・・
おっ!なかなかいい感じ。
はじめは、ぼそぼそとつぶやいていたけれど、徐々に声を張り上げて半ば叫ぶように、お杖を地面につき立てつき立て前へ進む。なにせ寝てないからちょっとオカシくなっている。
急なのぼりがあったかと思うと、へんろ転がしかと思うような下り。
しかし、この呪文のおかげでグイグイ進める。葉っぱのこすれる音も、ケモノ臭も、もはや気にならなくなっていった。
さーんげさんげーっ ろっこんしょーじょーっ さんげっさんげっ んろっこんしょっじょっー
息は上がるので、正調六根清浄節(ってあるのか?)が、ラテン調になったり、ボサノバ風になったり、はたまたこぶしのきいたサブちゃん風と、さまざまにアレンジされつつ腹から声を出してグイグイ先へ進む。
そんなとき、後方からチリ~ンチリ~ンと鈴の音が・・・。
「(*゜ロ゜)ハッ!! 誰かいてはった!」
次第に、六根清浄節がフェードアウトする中、鈴の音は近づいてくる。もう、すぐうしろーーーっ!
絶対、聞かれてたよね。叫んでてんもん・・・。どんな顔して挨拶しよ・・・
そうこうするうちに、すぐ背後まで迫ってきた鈴の音のヌシに思い切って振り返った時のワタシの顔は、きっと愛想笑いのようなこっぱずかしいようなみょうちきりんな表情だったのだろう。
「おは、おはようございます。あの、お先にどうぞ・・・」と細い道を後ろの方に道を譲った。きゃーはずかしー・・・(〃ω〃) ポッ
が、鈴の音の君は無言でまっすぐ前を見据えてワタシの前を通り過ぎてった。
アハッ。きっと、あの人もコワかったんだろうね。山ン中で六根清浄って叫んでるおばちゃんとなんて、顔をあわせるどころか言葉を交わすなんてオットロシーことでけへんでけへん・・って思ったんだろうねぇ。だから無視してスルーなんだわ。
いやー、ワリィことしちゃったかなぁ・・・
と思いつつも、第一へんろさん発見だっただけにちょっぴり残念。
さらには、一刻も早くこの場を立ち去りたかったのかマッハで遠のいていき、あっという間に鈴の音は聞こえなくなった。
ぽつーん。
気を取り直して、再び歩きはじめる。「ろぉっこんしょーじょっ♪」今度は、ちっさい声で唱えながら・・・。
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懺悔懺悔六根清浄とは・・・
人間の認識の根幹である、目・耳・鼻・舌・身に意識を表す意を加えた6つが我欲の執着にまみれていては、正しい道を歩めないということから、執着を断ち、魂を清らかにするために俗世との接触を絶つことをいうそうです。
山岳修行などの行者が深い山中に分け入るときに掛けた掛け声だそうで、一説には”どっこいしょ”の語源とも言われるそうです。
昨夜は夜行バスで一睡もしていないからか、なんだか歩いていてもふわふわしているような感じだ。
片坂峠にはいる。
おっと、いきなりのへんろ道だ。山道にどんどん分け入っていくのはいいけれど、なんとなくケモノ臭がするのは気のせいだろうか?いや、寝てないことによるハイなテンションがそんな臭いを嗅ぎ取った。
遍路行を重ねても、やはり山道はちょっと恐い。しばし立ち止まって耳を澄ませても何も音がしないし、前にも後ろには人がいない。足元には、あきらかになにかケモノの排泄物がポツポツポロロンと転がっているのだ。ケモノ臭とケモノふん。決定的だ。なんかおるやろここーっ!
こうなると、もうコワイコワイ。走るにも山道の足元は悪く、うっかり足を滑らせて・・・なんて、ケモノの餌食最短コースじゃんか!
ビクビクしだすと、カサカサっと風に揺すぶられる葉っぱのこすれる音にも「ひぇぇ~」
こわいけど走れない、こわいからこそ確実に一歩一歩踏みしめながらゆっくり歩かないと・・・。
そんなとき、ふと思い出したのが、テレビで見た大峰山修験道を歩く行者たちが自分達を鼓舞するため(?)に、唱える呪文(?)だ。
懺悔懺悔六根清浄。
声に出してみる。
さぁ~んげさんげ~ ろっこんしょうじょー さぁ~んげさんげっ ろっこんしょーじょっ・・・
おっ!なかなかいい感じ。
はじめは、ぼそぼそとつぶやいていたけれど、徐々に声を張り上げて半ば叫ぶように、お杖を地面につき立てつき立て前へ進む。なにせ寝てないからちょっとオカシくなっている。
急なのぼりがあったかと思うと、へんろ転がしかと思うような下り。
しかし、この呪文のおかげでグイグイ進める。葉っぱのこすれる音も、ケモノ臭も、もはや気にならなくなっていった。
さーんげさんげーっ ろっこんしょーじょーっ さんげっさんげっ んろっこんしょっじょっー
息は上がるので、正調六根清浄節(ってあるのか?)が、ラテン調になったり、ボサノバ風になったり、はたまたこぶしのきいたサブちゃん風と、さまざまにアレンジされつつ腹から声を出してグイグイ先へ進む。
そんなとき、後方からチリ~ンチリ~ンと鈴の音が・・・。
「(*゜ロ゜)ハッ!! 誰かいてはった!」
次第に、六根清浄節がフェードアウトする中、鈴の音は近づいてくる。もう、すぐうしろーーーっ!
絶対、聞かれてたよね。叫んでてんもん・・・。どんな顔して挨拶しよ・・・
そうこうするうちに、すぐ背後まで迫ってきた鈴の音のヌシに思い切って振り返った時のワタシの顔は、きっと愛想笑いのようなこっぱずかしいようなみょうちきりんな表情だったのだろう。
「おは、おはようございます。あの、お先にどうぞ・・・」と細い道を後ろの方に道を譲った。きゃーはずかしー・・・(〃ω〃) ポッ
が、鈴の音の君は無言でまっすぐ前を見据えてワタシの前を通り過ぎてった。
アハッ。きっと、あの人もコワかったんだろうね。山ン中で六根清浄って叫んでるおばちゃんとなんて、顔をあわせるどころか言葉を交わすなんてオットロシーことでけへんでけへん・・って思ったんだろうねぇ。だから無視してスルーなんだわ。
いやー、ワリィことしちゃったかなぁ・・・
と思いつつも、第一へんろさん発見だっただけにちょっぴり残念。
さらには、一刻も早くこの場を立ち去りたかったのかマッハで遠のいていき、あっという間に鈴の音は聞こえなくなった。
ぽつーん。
気を取り直して、再び歩きはじめる。「ろぉっこんしょーじょっ♪」今度は、ちっさい声で唱えながら・・・。
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懺悔懺悔六根清浄とは・・・
人間の認識の根幹である、目・耳・鼻・舌・身に意識を表す意を加えた6つが我欲の執着にまみれていては、正しい道を歩めないということから、執着を断ち、魂を清らかにするために俗世との接触を絶つことをいうそうです。
山岳修行などの行者が深い山中に分け入るときに掛けた掛け声だそうで、一説には”どっこいしょ”の語源とも言われるそうです。
by ke-ko63 | 2010-01-05 22:00 | お遍路に行きたい | Comments(2)