雪中行軍 宇和の彷徨-2010年越し遍路9-

9時過ぎ 41番龍光寺到着。
見上げると果てしなくつづく石段の頂上に赤い鳥居が…。
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石段に積もった雪をなるべく真上から踏みつけるようにしてコワゴワ上っていく。
人気のないお寺に、しんしんと雪が降る。

貸切のお寺で心静かにお参りさせてもらったあと、あたりを徘徊しているとひとりのおへんろさんが石段を上ってくるのが見えた。お!ナカーマ!


e0008223_23224763.jpg納経所のガラス戸を開けて、「コンニチハ。おねがいします。」と納経帳を差し出すと、かなりご高齢のおばあさんがいらして「寒いのにご苦労様」とにっこりと微笑んでくださった。
そして、納経帳を両手で受け取ってくださり、頭の上に捧げて一礼し、それからゆっくりと帳面を開かれた。
さらに、納経帳のサイズに合わせて古新聞をカットし、御朱印をくださる袋とじのページ内に入れてから、もう一度一礼し筆をとられた。
墨が裏のページににじまないようにというお心遣いなのだ。

おばあさんの、お心のこもった一連の所作にワタシはウットリと見惚れてしまった。
さきほどの「寒いのにご苦労様」というお言葉そのままが、所作に表れているようで感激してしまった。

納経帳を受け取ってから、次の札所への道をお聞きする。
ずいぶん降ってきたので、へんろ道の道しるべに従って歩けないので他の安全ルートを教えていただくためだ。
おばあさんから返ってきたのは、「へんろ道の方が山道だから雪が踏まれてないので歩きやすいし、近道の一本道だからこれくらいの雪なら大丈夫でしょう。」という意外な回答だった。

お礼を言って納経所を出たところで、さっきの歩き遍路さんに遭遇した。
彼もへんろ道を歩くつもりと聞き、んじゃ後ろからくっついて行かせてくださいとお願いして、1列縦隊で雪の山道へ分けいった。

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見渡すかぎり真っ白で、その雪の白さが目に刺さるように眩しい。
誰も歩いていないからか、降り積もった雪のせいでどこが窪んでいるのかもわかりにくい。

途中会話をする余裕もなく、ずんずん進むおへんろさんに遅れまいとついていく。普段ならなんでもないはずの道にも足をとられ、ちょっとした下り坂にも転びそうになりながらもう必死でついていく。息があがり汗が流れる。そして見失ってしまう。ガ━━━(゜ロ゜;)━━ン!!

『雪山で行き倒れ遍路、雪解けの春に見つかる』
そんな新聞見出しを妄想すると汗は流れるのに、背筋に寒気が走る。
い、いかん!見失ったリーダーを見つけねば!

転がるようにして、やっと山道を下り車道へ出た。その先に見失ったリーダーが立っているのがみえた。
「ここまで来たらあとはこの道に沿って行けばいいですから」
そう言って、彼はワタシを先に行くように促してくれた。「ありがとう。助かりました。」お礼を言って、先に歩き出した。

束の間の掛け連れは、こうして終わった。八甲田山死の行軍をちょっと思い出した。いや、大げさでなくてマジ怖かったッス。
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by ke-ko63 | 2011-01-25 23:25 | お遍路に行きたい | Trackback | Comments(4)  

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Commented by 八咫烏 at 2011-01-26 22:09 x
雪中行軍本編の始まりですね。
雪は何もかもを白く覆い隠し、美しい世界を作り出してくれますが、そこに隠された恐怖は経験したものでないとわかりませんね。
下が凍結していると、ちょっとした体重移動のバランスが崩れただけで転倒しますから・・・
転んだ時、意識がある・手足が動く、そんな当たり前な事が確認できるだけで、「無事でよかった」と思いますから・・・
(吹雪の中のスキー場での経験ですが・・・)
雪の中で白衣を着たお遍路さんが倒れていたら、ちょっと発見されにくいかもしれませんね。
Commented by ke-ko63 at 2011-01-26 22:23
>八咫烏さん
歩きはじめはよかったんですよ。雪が珍しいからはしゃいでましたしね。
しかし、おっしゃるとおり、雪の下がずぼぼーんと窪んでたりすると、これはもういけませんや。
この年末年始は、寒波襲来を察知してかおへんろさんに遭遇することも少なく、ますます発見が遅れたかもしれません。
あぁ、御無事で何より と自分に何度言い聞かせたことやら…(^^ゞ
Commented by まねき猫 at 2011-01-27 09:43 x
雪景色は見るだけならいいんですけど、
そこで何かをする、となると大変なんですよね。
石やコンクリートの上はなおさら危険が加わりますから。
ええ、私も痛~い思いをしましたから。
Commented by ke-ko63 at 2011-01-27 22:32
>まねき猫さん
同じ雪景色でも、スキー場のそれとは大違いですな。
行ったらあかんとこさえ行かなんだら、まず危険はないわけだし・・・

痛い思いしはったんですね。あらあら・・・

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