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2011灼熱遍路行14 泰山寺奥之院龍泉寺

泰山寺奥之院 龍泉寺へ…。
ここは、あるおへんろの先輩に「ぜひとも行ってみて」と勧められた。
山道を登ってったところに、ちんまりとお堂が建っている。

お堂の上に描かれているのは、鏝絵(コテ絵)と呼ばれるものだそうだ。
左官屋さんが、ちょいとヒマしてるときに「こんなんでけへんかなー」と思いついて描いたのが始まりだとかいう由来が説明板に書かれていた。
コテで描いたの?!スゴーイ!
日本人の技法たるや…。
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お参りを納め、さて帰ろうとするとお堂近くにちいさな小屋があった。
おへんろの先輩は、ここでとてもおいしいコーヒーを召し上がったのだそうだ。
とっても小さな喫茶店。
中へ入ると、小柄なおばさんが出迎えてくださる。

喫茶店にしては小さすぎる店構えに「??」と思いながらも「アイスコーヒーください」と、オーダーする。

そして、アイスコーヒーの前にかき氷、粟おこしとかお菓子いろいろ、あんみつ…
いや、あのぅ…頼んでないですけど…と、思いつつ頂く。
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小柄なおばさんは、とても上品な方でなんだかちょっと玄人さんっぽいなー…なんて。お心遣いが細やかで、ほんとに優しくてらして、コトバの端々にそれがあらわれるのですよ。
あぁ、この方は、かなり徳の高い方だなぁ…なんてエラソーなこと思ったりしながらアイスコーヒーを頂く。

龍泉寺の御朱印も、この方がもらってきてくださって、もう何から何までほんまにすいません、ありがとうございました。

で、「お勘定を…」と言うと、「いえいえ…」と辞退されてワタシははじめてココがお接待所だと気づいた。
いや、気づくの遅すぎ…。
小さな瓢箪が6つついた手作りのお守りまでくださった。ありがとうございます。

「ごちそうさまでした。ありがとうございました。」と頭を下げて小屋を出た我々の後から出てこられて、「気をつけてお参りくださいね。」と、手を合わせて見送ってくださるその姿に、じぃ~んときてしまう。

後で知ったことだけど、龍泉寺の庵主さんなのだそうだ。
喫茶店の小柄な玄人っぽいおばさんなんて言ってごめんなさい。


普段の暮らしの中で、他人に干渉されることがないのは気楽なんだけど、こんなに自然なカタチで他人様に親切にされると、まごついてしまってどういうふうにお礼を言えばいいのかわからなくなってしまう自分が嫌だ。
それは、裏返すと自分が他人に対して優しくしていないということでもあるような…。
他人だけではない、自分のごくごく身近にいてくれる人に対しても、感謝したり、やさしくしたり自分はできていないのだ。
自分の都合のいい時だけ構ってほしかったり、やさしい言葉を期待したり、相手に求めることばかりで、それが思うように得られないと途端に不満に思ったり、不安になったり、悲しくなったりする。
自分の都合のいい時だけ…。

見返りを求めないやさしさや思いやり。

そういうものをこの庵主さんのように身にまとえる日はワタシには果たして来るのだろうか?


ずいぶん歩いてから振り返っても、まだ両手を合わせて見送ってくださる庵主さんのその無償の愛を全身で感じながら、先を行く先達さんの後を追いかける。

by ke-ko63 | 2011-11-26 12:42 | お遍路に行きたい | Comments(2)  

Commented by mikeblog at 2011-11-27 09:13
いや、思い出しました。前にも同じ事を書いたけど、子供の頃母親に連れられて母のお里に行きましたが、帰る時はずっと見えなくなるまで見送ってくれました。振り返りながらかなり歩いて曲がり角では遠くのみんなとお辞儀をしたなぁ。お接待だったんだぁな、って。しみじみ~。
この庵主さんはお遍路さんみんなの記憶に残って忘れられないでしょうね。
Commented by ke-ko63 at 2011-11-28 21:23
>ミケさん
こういう風景っていいですよね。奥ゆかしいというか、日本っぽいっていうか…。
見送る相手のこれからの無事を祈る。そういう思いがあふれていますよね。
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