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2011灼熱遍路行33 横峯へ…(7)

山の天気は待ってはくれなかった。ポツポツ降りだした雨は、次第に粒を大きくして落ちてくる。
「うわーっ、降って来ましたねー」「急げ-」
みるみる雨は激しさを増し、足元は川のような流れに・・・。
ここまで降ってくると、新調したゴアテックスのトレッキングシューズもカタナシだ。もう靴の中までぐっしょぐしょ。
ポンチョ型の100円合羽を着るも、気休めにもならない。
ただでさえ足元がガタガタした山道なのだ、走り下るなんてことはできないから、ビショビショに濡れながらも緊張しつつ下る。

石鎚山に登った時のことを思い出していた。
あの時、たしかに登りは鎖場あり、デンジャラスゾーンありでハラハラドキドキの山登りだった。が、下りはどうだったっけ。
だらだらだらだらと巻き道を延々下っていくだけの退屈な道だったじゃないか。まだ登りのエキサイチングな道のが変化に富んでいて、おもしろく、それにひきかえ下りの単調なことよ。おまけに、先達さんがずんずん先を歩いてどんどん遠のいていってしまいには見えなくなり、ま、一本道だから迷子になるこたぁないけれど、置いてけぼりになったのも石鎚の下りだったよなぁ…。

今回は、足元を気遣ってくれながら「大丈夫ですか?」と声をかけかけ一緒に下ってくださる。ありがたい。
だって、置いてけぼりにしたことをあのあとしばらくはブツブツ文句いったものねぇ、二の轍は踏まんですよなー。

そんなことを思い出しつつ歩くうち、スコールが通り過ぎたのか雨脚が弱まり、小雨になってくれた。
後ろから人の声が聞こえてきた。同じように下ってくるおへんろさんだろうか?しばし、その場で待っていると昨日の同宿の歩き遍路さん(よくしゃべるおばちゃんと仙遊寺でも同宿だったおじさんのコンビ)だった。

「おつかれさまですー。さっきの雨スゴかったですよねー」と、声をかけ、そこからは2列縦隊で下る。

かけつれがいると楽しいものである。
同じ道を歩き、同じ苦労を分かり合える仲間みたいなものだから、自然と会話も弾む。歩きへんろがやめられないのは、こうした人との出会いが楽しいからでもあるんだろうなぁ…。
和気あいあいと楽しく語らいながら歩く3人を、ワタシは背後から微笑ましく眺めていた。(はじめのうちはね。)

ひとつ忘れていたことがあった。よくしゃべるおばちゃんは、よく通る声でノンストップでしゃべりまくりながら、そして、仙遊寺から同宿のおじさんは物静かにうんうんと頷きながら、さらに先達さんはというと、おばちゃんに負けないくらいのマシンガンでしゃべっていながら歩くペースがすごいのだ。
あんだけ口動かしてると、足もつられて速くうごくのかな?なんてはじめは思ってたけど、急がないとまた雨が降るかも…という心配が下りをさらに加速させているのか。
どんどんどんどん離れて行って、50mくらい離されてしまった。あぁ…。

そう、かけ連れが楽しくて和気あいあいとしているのは前を行くトリオへんろだけなのだ。アタシャ後方からそれをずっと眺める。どんなに急いでも追いつかない。急ごうにもマメまみれの足は湿った靴の中でさらに悪化しているに違いなく、一歩一歩が激痛なのだ。

距離が開いても、ときおり振り返ってついてきているかどうかを確認してくれていた先達さんは、かけ連れさんたちとの語らいに夢中になっているからか、全く振り向かなくなった。
甘えてるわけじゃないんだ!あーたは誰の先達なんだ!ってハナシなのよ。
登りの途中で、これまでのスネた態度を反省し改めようとしていたことなんてどっかへいってしまった。再び、ムッカー、イライラー、アホボケー!と前方をかけ下りていく元先達をロックオンしながらおっかなびっくりゴロゴロ道を下るうち、とうとうキレた。プッツーン。

もうえぇわ!

ふと見ると【香園寺→】という道しるべが見え、そっちへ曲がった。香園寺にクルマを置いてるから、そこへ行けばいいのだ。先を行く先達さんは別ルートでトリオで下ればいい。どうせ後方確認もしてないんだし。フンッ。道がわかるからいいもーん。

ワタシは道しるべに従って、左手に道をとる。テクテク歩くうちムショーに腹が立ってきた。腹が立ちすぎて涙がぼろぼろこぼれてきた。
「こんなんばっかりやん。こんなことなら一人で歩いてるほうがどんなにいいか。もういややわ。」

でも、途中で後ろにいないことに気づいて心配してもいけないので、香園寺で待ってることをメールしようとケータイを開くと、さっきのスコールで水没したため電源が入らなくなってしまっていた。あーあ。踏んだり蹴ったりやん。

ずいぶんたってから、ワタシがついてきてないことに気づいたのか先達さんが追いかけてきた。でも、ムカムカが収まらないワタシは「健脚でハナシのあうあの方たちとご一緒に行かれたらどうですか?ワタシは香園寺に下りて待ってますから。どうぞ遠慮なさらずに…」と言い、加速して歩いた。
しばらくして振り返ると、いない!おらんがな!
うそん!ほんまに元の道に戻ったん?マジで?信じられん!キーーーッ!

山登り以上に、ワタシの感情は上がったり下がったり。ジェットコースター並だ。疲れた。精神的にクタクタだ。ひとりがいちばん。こんな思いするくらいならはじめからひとりでくればよかった。
後悔先に立たず。ほんまやわ…。

そして、香園寺まではずいぶん遠かった。

by ke-ko63 | 2011-12-27 13:51 | お遍路に行きたい | Comments(0)  

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