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お遍路さん  26~ いっちばーん! ~

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9番【法輪寺】到着。
境内に一歩足を踏み入れる。
「最終日ひとつめの札所だ」
ひとつ深呼吸をしてみる。
まだ朝はやい境内は、ひっそりと誰もいない。

「え?誰も?」

「ほんまにぃ?」
きょろきょろ見回して確かめてもやっぱり誰もいない。

「ヤタッ!いっちばーん♪」
一番乗りに気をよくしたわたし。札所独り占めっ!

「おっ!そうやっ!今日までまだ一度もやってなかった"鐘つき"やらしてもらおっ!」
まだ一度もやってなかったことに"ちゃんと般若心経を唱える"ってのもあるにはあるんだけれど
ここはいっちょハデに鐘をいっぱつ景気よくつかしてもらうことにした。

グワァァァ~ン・・・・・。

いまひとつの音色だったけれど、祝!初鐘つきに満足し、エヘラエヘラしながら本堂へ・・・。
「鐘、つかしてもらいましたよってに」と丁寧にお礼いい、そしてお参りを済ませ、さて納経所へ・・・。
とクルリと後ろを向くと山門から緑色のままちゃりにまたがったスウェット姿のじーさんが走ってきて、わたしの姿を認めると「わぁ~ごめんごめん。ちょっと待ってぇやー」とちゃりを境内の木の下に止めるとダダダダーっと目の前を走り過ぎていった。

「朝から元気なじーさんやなー」じーさんの消えた方向をしばらくぼんやり眺めていた。

お線香やろうそく、納札をリュックにしまい納経帳を取り出してからリュックを背負って納経所へ。
サインしてもらうページを開けて「お願いします」と差し出し顔をあげると「はいはいどれどれ」といいながら納経帳を受け取ったのは、なんと、さっきのみどりちゃりじーさんだった。

(やーい。やーい。遅刻してやんの)

とハラの中でじーさんを指差しながらサインをしたためるじーさんを観察する。
通勤着なのかスウェットから正装に着替え、額に若干の汗。小鼻全開でフーガフーガゆうてる。
「息をととのえてからでいいですよ」と言おうかと思っている間に筆をとってさささのさ~と書いてくださった。(←急に丁寧になる)
まだ息はあがったままだし、鼻はふがふがだ。
なのにとてもきれいな美しい文字で書いてくださった。
出来上がった納経帳を手渡してくださりながら「ひとりで?気をつけて行きなさいね」とやさしくねぎらいの言葉までいただいた。

最終日になってもやれやれ自分のあほっぷりにうんざりし、山門を出てもしばらく"みどりちゃりの君"のカッチョよさをかみ締めながら歩くのだった。

by ke-ko63 | 2007-11-30 21:42 | お遍路に行きたい | Comments(4)  

Commented by mintoto2 at 2007-11-30 21:52
今朝は元気ハツラツ~といったところでしょうか。
これがだんだん。。。。歌もでなくなって。。。
まだまだ猛暑の中のお遍路なんですよね。道中お気をつけて~。
Commented by ke-ko63 at 2007-12-01 21:49
mintoto2さん

師走突入というのにいつまで夏遍路の話を書いてんねん!と自分にツッコミいれつつ旅はまだ続くのです。
歩くってのはなんの道具も要らなくて気軽にできるんだけれど1時間歩いても3キロがせいぜいです。でもクルマだと気づかなかったことや出会わなかった人にたくさん会えて、歩くのも悪くないなって思います。
ただ、普段の運動不足は確実にこたえました。
Commented by mikeblog at 2007-12-03 00:51
チャリのおじいちゃんの描写が抜群!目に見えるようで大笑いさせてもらいました。暑さ盛りの夏の話なんだものね。
Commented by ke-ko63 at 2007-12-03 19:52
ミケさん

その道のプロとはこういうじーさんのことを言うんだろうなと思いました。
くたびれたスウェットだろうが、ままちゃりに乗ろうが、プロの仕事をするのです。
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