ひとりになって・・・ -第2回お遍路行5-
数珠を購入し、お参りと納経を済ませたマダムとともにいよいよ次の12番焼山寺への登り口を入っていく。AM7:10。
かけ連れマダムは、すっかりワタシを頼り切っている様子でリラックスしていろいろ話しかけてくる。ただやはり少し悪くされている足の調子をみながらということでなかなか思うようなリズムでは登っては行けない。
「いいのよいいのよ。先に行ってちょうだいな。人のペースに合わせていたらかえって疲れてしまうわよ。」というけれど時折よろけたりするマダムをほっぽっといて「ほな先に行きまっさー」というわけにもいかず、少し歩いては遅れてくるマダムを待つ。また進んでは振り返ってマダムの足元を見守る…。ということを繰り返していると自分のペースがわからなくなってきて息が上がってきた。
山道を登るうちに左手に水場が見えた。水は湧いてはいなかったけれど、ひしゃくが置いてあったので(うむ。飲めるということね。)と判断、1杯掬ってのどを潤した。ちょうどあとから男性遍路2名がやってきてやはり同じようにひしゃくで掬っておいしそうにゴクゴク飲み干す。(おかわりしたかったけれど手をだしそびれた…)
マダムは親しげに男性遍路に話しかけ始めた。
なんやかんやいいながら自前のステッキ(金剛杖でなくて歩行補助のための)でここまで登ってきたマダム。そしてにこやかに第2ターゲットに天真爛漫ぶりを発揮している。
タフネス・・・。She is toughness。
ここまでかなりキツかった。山道がキツいのに加えて他人に気を使いながら歩くことのキツさ。
「お先に~」と出発された男性遍路の後について早くも歩き始めたマダムに「すいません。息があがってしんどいので先に行ってください。あとで追いつきます。」と言ってしまった。
「じゃー先に行ってるわよー。少し先で待ってるからねー。ゆっくりねー」と手を振るマダムに逆にねぎらわれる始末。
(薄情な自分。他人との同調も修行のうちではないか、ましてや足元がおぼつかないマダムをほっぽり投げるなんて…)という思いが頭をよぎったが、マイペースでこの難所を越える自信がそもそもあるわけでないのだ。ましてやかけ連れマダムとの同行3人となると…。(お大師さんごめんなさい。ワタシは悪いコです)と謝りながらマダムの後姿を見送った。
ひとりになって歩き始める。
山道。それも荒くれ道である。大小の石がごろごろしていてうっかり足を乗っけるとひっくり返ってしまいそうな石もある。急な上り坂を杖にすがってよじ登っていく。同行二人というのはこういうことなのか。お大師さんの分身といわれる金剛杖、そう、お大師さんにすがらねばとてもじゃないけどこんな坂を上ることはできない。
ひとりになっても息が上がる。
(マダムのせいになんかして…)
また胸の奥がチクリと痛む。
長戸庵に到着。さっきの水場で先発した男性遍路2名も休憩しており、通し打ちされているのか野宿仕様の重装備な男性が経本を持ってお堂に向かった。ガッチリした体躯の男性の唱える般若心経が疲れた体に沁みてくる。
朗々と唱えられる般若心経はまるでオペラのようだ。
男性遍路は、相前後してまた出発された。
お地蔵さんの前でしばらく放心状態でだらけていたワタシも出発。まだまだ先は長いのだ。
少し歩いては休憩、また歩き始めて一服、また一歩踏み出しては深呼吸・・・。
聞きしに勝る難所だ。
しかし少し先で待ってるはずのマダムに会わない。かなりあれから歩いたと思うけれど会わない。
まさか追い越すわけはないはずだ、この道一本しかないんだし…。
もしかしたら足を滑らせて崖下へ滑落?もしそうだとしたらワタシのせいだ。どうしよう。前にも後ろにも人はいない。この崖を落ちても誰も気づかない。
「マ~ダ~ムゥ~」と崖下へ向かって呼んでみたけど(そう、お名前を伺ってなかったのだ)万一マダムが崖下に落ちていても「マダム=自分」と思うかどうかもハテナである。
どうしよう。どうしよう・・・。
いや、実は緊急SOSルートが別にあってケガした人や途中リタイヤした人を搬送する車道がすぐそばを並行していて、マダムはそこからふもとへ搬送されたのだ。そうに決まってる。と自分に言い聞かせた。イイワケがましい自分をなんとか押し込めてまた歩き始めた。
休憩は何度したかわからない。やっと下り坂にさしかかり柳水庵が見えてきた。奥の院におまいりに来ていた近所のご家族と挨拶を交わし、長戸庵で会った男性遍路2名が先着しているところへ合流した。
やはりマダムはここにもいない…。
かけ連れマダムは、すっかりワタシを頼り切っている様子でリラックスしていろいろ話しかけてくる。ただやはり少し悪くされている足の調子をみながらということでなかなか思うようなリズムでは登っては行けない。
「いいのよいいのよ。先に行ってちょうだいな。人のペースに合わせていたらかえって疲れてしまうわよ。」というけれど時折よろけたりするマダムをほっぽっといて「ほな先に行きまっさー」というわけにもいかず、少し歩いては遅れてくるマダムを待つ。また進んでは振り返ってマダムの足元を見守る…。ということを繰り返していると自分のペースがわからなくなってきて息が上がってきた。
山道を登るうちに左手に水場が見えた。水は湧いてはいなかったけれど、ひしゃくが置いてあったので(うむ。飲めるということね。)と判断、1杯掬ってのどを潤した。ちょうどあとから男性遍路2名がやってきてやはり同じようにひしゃくで掬っておいしそうにゴクゴク飲み干す。(おかわりしたかったけれど手をだしそびれた…)
マダムは親しげに男性遍路に話しかけ始めた。
なんやかんやいいながら自前のステッキ(金剛杖でなくて歩行補助のための)でここまで登ってきたマダム。そしてにこやかに第2ターゲットに天真爛漫ぶりを発揮している。
タフネス・・・。She is toughness。
ここまでかなりキツかった。山道がキツいのに加えて他人に気を使いながら歩くことのキツさ。
「お先に~」と出発された男性遍路の後について早くも歩き始めたマダムに「すいません。息があがってしんどいので先に行ってください。あとで追いつきます。」と言ってしまった。
「じゃー先に行ってるわよー。少し先で待ってるからねー。ゆっくりねー」と手を振るマダムに逆にねぎらわれる始末。
(薄情な自分。他人との同調も修行のうちではないか、ましてや足元がおぼつかないマダムをほっぽり投げるなんて…)という思いが頭をよぎったが、マイペースでこの難所を越える自信がそもそもあるわけでないのだ。ましてやかけ連れマダムとの同行3人となると…。(お大師さんごめんなさい。ワタシは悪いコです)と謝りながらマダムの後姿を見送った。
ひとりになって歩き始める。
山道。それも荒くれ道である。大小の石がごろごろしていてうっかり足を乗っけるとひっくり返ってしまいそうな石もある。急な上り坂を杖にすがってよじ登っていく。同行二人というのはこういうことなのか。お大師さんの分身といわれる金剛杖、そう、お大師さんにすがらねばとてもじゃないけどこんな坂を上ることはできない。
ひとりになっても息が上がる。
(マダムのせいになんかして…)
また胸の奥がチクリと痛む。
長戸庵に到着。さっきの水場で先発した男性遍路2名も休憩しており、通し打ちされているのか野宿仕様の重装備な男性が経本を持ってお堂に向かった。ガッチリした体躯の男性の唱える般若心経が疲れた体に沁みてくる。
朗々と唱えられる般若心経はまるでオペラのようだ。
男性遍路は、相前後してまた出発された。
お地蔵さんの前でしばらく放心状態でだらけていたワタシも出発。まだまだ先は長いのだ。
少し歩いては休憩、また歩き始めて一服、また一歩踏み出しては深呼吸・・・。
聞きしに勝る難所だ。
しかし少し先で待ってるはずのマダムに会わない。かなりあれから歩いたと思うけれど会わない。
まさか追い越すわけはないはずだ、この道一本しかないんだし…。
もしかしたら足を滑らせて崖下へ滑落?もしそうだとしたらワタシのせいだ。どうしよう。前にも後ろにも人はいない。この崖を落ちても誰も気づかない。
「マ~ダ~ムゥ~」と崖下へ向かって呼んでみたけど(そう、お名前を伺ってなかったのだ)万一マダムが崖下に落ちていても「マダム=自分」と思うかどうかもハテナである。
どうしよう。どうしよう・・・。
いや、実は緊急SOSルートが別にあってケガした人や途中リタイヤした人を搬送する車道がすぐそばを並行していて、マダムはそこからふもとへ搬送されたのだ。そうに決まってる。と自分に言い聞かせた。イイワケがましい自分をなんとか押し込めてまた歩き始めた。
休憩は何度したかわからない。やっと下り坂にさしかかり柳水庵が見えてきた。奥の院におまいりに来ていた近所のご家族と挨拶を交わし、長戸庵で会った男性遍路2名が先着しているところへ合流した。
やはりマダムはここにもいない…。
by ke-ko63 | 2008-08-22 17:58 | お遍路に行きたい | Comments(6)
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elfin-mama
at 2008-08-23 00:38
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あ~!!お遍路復活したんですね(^^)
それこそ、うちのシマを荒らしに来る時は「ご連絡を」ですよ(^^)
道中お気をつけてね。
それこそ、うちのシマを荒らしに来る時は「ご連絡を」ですよ(^^)
道中お気をつけてね。
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ke-ko63 at 2008-08-23 07:35
>elfin-mamaさん
オホホそーでしたそーでした。でもまだ徳島をぐずぐず回っておるわたし。本丸への道のりはまだまだ遠いのでした…。
オホホそーでしたそーでした。でもまだ徳島をぐずぐず回っておるわたし。本丸への道のりはまだまだ遠いのでした…。
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mikeblog at 2008-08-23 10:27
山登りもあるんですねー。タフなマダムに手こずるはりさん。がんばれよー!
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コイケダ
at 2008-08-23 12:09
x
意外?に情の深いはりさんやこと。
アタシはたいがい薄情もんですし、甘えるヤツは大嫌い(^^;
心得違いを諭す・・・までは参りませんが、それとなく気付いていただくように仕向けるのも一種の功徳だと考えるのですが。
・・・ちゅうても、甘え慣れてる輩は強いよ、うん。素直に甘えるのがヘタクソなまま生き続けて約半世紀・・・不器用ですから!
(ひねくれた甘え方のまま半世紀、とも申せますか(^^;)
アタシはたいがい薄情もんですし、甘えるヤツは大嫌い(^^;
心得違いを諭す・・・までは参りませんが、それとなく気付いていただくように仕向けるのも一種の功徳だと考えるのですが。
・・・ちゅうても、甘え慣れてる輩は強いよ、うん。素直に甘えるのがヘタクソなまま生き続けて約半世紀・・・不器用ですから!
(ひねくれた甘え方のまま半世紀、とも申せますか(^^;)
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ke-ko63 at 2008-08-23 12:26
>ミケさん
今回は山越えを3本こなしました。いやーもー辛かったのなんの…。
今回は山越えを3本こなしました。いやーもー辛かったのなんの…。
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ke-ko63 at 2008-08-23 22:29
>コイケダねーさん
一種の功徳…うん。そう思う。
でもねー全力で頼ってこられるとなんともできなかったり…。結局見捨てちゃったしね。なかなか難しいッス。
いろんな意味で修行が足りぬと思うこのごろでございやす。
一種の功徳…うん。そう思う。
でもねー全力で頼ってこられるとなんともできなかったり…。結局見捨てちゃったしね。なかなか難しいッス。
いろんな意味で修行が足りぬと思うこのごろでございやす。