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ビールがおいしくいただけるというしあわせ -第2回お遍路行16-

ビールがおいしくいただけるというしあわせ -第2回お遍路行16-_e0008223_21304989.jpg縄でたぐり寄せようと思った大日寺にようやく到着。普通の道に"ぽっ"とあるお寺で、これまで深い山の中とか強烈な階段の頂上とかに目指すお寺があっただけにちょっと拍子抜けする。
参拝されている方も地元の方のようで地域密着型のお寺という感じ。そういえば鴨島へ向かう列車で相席になった声の大きな神戸から来たおじさん遍路が、ここのご住職にたいへんお世話になったことを話しておられた。とてもいい人なのに偉ぶらないご住職だそうで、すっかり心酔しておられるようだった。(奥様が韓国の方で少し前にご主人であるご住職を亡くされてからは奥様ががんばっておられるということをネットで読んだ記憶があったが、おじさん遍路には伝えなかった。)納経所で、奥様にお会いできたらおじさん遍路のことをお話しようと思ったが、残念ながら納経してくださった方は奥様ではなく、おっちゃんだった。


こじんまりとしたお寺の敷地内をうろうろと徘徊し、正面の"しあわせ観音"をしげしげと眺める。
「観音様アタシャしあわせになれるでしょうか・・・。」
しあわせてなんだろね。"しあわせになる"ってのは、それがゴールみたいだけれどじゃあ今ワタシは"しあわせでない"ということもない。なにをもって"しあわせ"というのだろ?今こうして四国を歩いてお遍路ができる、そこそこのお金と時間もなんとか工面できた。これも"しあわせ"なんだろか?じゃあ"しあわせになりたい"というのは、もっともっと・・・ってことなのか?"しあわせ"ってキリがないものなのか?
そんなことを正面の観音様に話しかけてから本日の宿「名西旅館・花」へ向かった。

旅館は大日寺からすぐのところにあり、ここまでの道々に何度もこの宿の看板が目に付いた。そこにはたしかに"送迎します"の文字があり、おやすみなし亭での大休憩もあって「もちょっと行けるかも・・・」と思っていたワタシは、まだ3時前ということもあり荷物だけ置かせてもらって先のお寺までお参りし、適当な時間に宿の人に電話してお迎えに来てもらう算段だった。
が、送迎はやってないとあっさり断られ結局そのままチェックインすることに。
通された部屋はワンルームマンションの1室みたいでフローリングの床に折りたたみベッドが2台と小さなテレビという部屋だった。
空いてるベッドに荷物を置き、テレビを見ながらぼんやりしていると宿のご主人(?)とばーちゃんがやってきて、空いてるベッドのお布団セットを引き上げていった。「・・・。」
することもないので、お風呂に入るも昨夜のお風呂の極楽気分を思い出すと切なくなるようなお風呂で早々にあがる。廊下ですれ違ったさっきのばーちゃんに「あんた夕食いるんか?」とスゴまれ、つい「は、はいできればいただきたいなぁと・・・」と怖気づいてしまう。(ちゃんと予約したのに…)なんでケンカ腰?そういえば予約の電話を入れたときにも八つ当たりされたんだっけ…。こわいばーちゃんだ。

洗濯したり、恒例の荷物整理を満喫したあと食堂へ降りる(エレベータ!)と、ばーちゃんが「アンタはココ!」とすみっこの席を指定された。(いや、だから怒らんかてよろしーやん・・・)
団体のワコウドチームや、年配の車遍路グループなどがワイワイ食事をされている。メニューも豪勢だ。再びあたりを見回し、まわりのにぎやかさに紛れるようにビールをオーダーすると、目の前になんと大ビン!が置かれた。(飲みますけどね。)これまでも毎日ビールは飲んでいたけれどすべて缶ビール。大ビンってこれ目立ちますがな・・・と思いつつもお造りをつまみに手酌でグビグビいただく。あぁ、うまい。これも"しあわせ"なんだよな~。

ワコウドチームは食事だけの立ち寄り客だったようで宿を出て行った。
隣の席のおじさんドライバーにおばさん3人のハーレム車遍路チームがテレビの阿波踊り(ちょうど阿波踊りシーズンだった)を見て「見てみたい」と言いだした。例のこわいばーちゃんが聞きつけて、ココからクルマで30分ほどで会場に行けること、行くならタクシーを呼んであげること、踊りには男踊りと女踊りがあって毎年はやりの踊り方があって、今年は手のひらを閉じる踊り方が流行であることなどを身ぶり手ぶりを交えて時にはちょっと踊って見せながら話しだした。意外とおちゃめさん。
2年前に阿波踊りの実物をナマで見たワタシはアルコールの勢いも手伝って「テレビで見るのとナマで見るのとぜんぜん違いますよ。絶対オススメ!鳥肌たちますよ」とハーレム遍路チームを煽った。
それをきっかけにこわいばーちゃんといろいろとはなしができるようになり、「ご飯はちょっとで」というのに仏さんのお供えごはんみたいにてんこ盛りに入れられたりして楽しい夕食タイムは終了した。

ビールがおいしくいただけるというしあわせ -第2回お遍路行16-_e0008223_2132659.jpg外はまだ明るいので少し散歩でもしようと階下(エレベータ!)へ降りると、ばーちゃんとご主人(おそらく息子さん(とても温和そうな…)が自転車に乗って行くといいと言って鍵をかしてくださった。

さっきの大日寺のとおりをはさんで向かいに神社があったのを思い出し乗りつける。お寺の向かいに神社。ウマさん2頭に迎えられしばし徘徊。やはり近所の人だろうかお参りされているのが見えた。暮れなずんでいく景色に溶け込んでゆくような神社。やがて誰もいなくなって少しずつ暗くなっていく境内にちょっと酔いも醒めてきて怖くなったので一礼して神社をあとにした。
ビールがおいしくいただけるというしあわせ -第2回お遍路行16-_e0008223_2134306.jpg

by ke-ko63 | 2008-09-03 13:54 | お遍路に行きたい | Comments(8)  

Commented by mikeblog at 2008-09-03 23:21
幸せとはなんぞや?と哲学的なことを考えるのもお遍路のいいところでしょうね。幸せってそれは一日歩いて宿で飲むビール、でしょうね。グビグビ。
Commented by コイケダ at 2008-09-04 09:05 x
おはようさんでございます。

ひとりで歩いててさぁ、突然「しあわせだぁ!」って感じて勝手に涙が流れたり、宿で眠りにつく寸前に「しやわせ~」ってにやけたり、しました、アタシ。

ヘンローズハイ、なのかね?
Commented by はりQ at 2008-09-04 11:29 x
>ミケさん
なんでしょね?そりゃなるべくたくさんお金はほしーし、やりがいのある仕事もしたいし、頼りになるやさしー連れ合いがいて、べらぼうに健康で…ってこれは"しあわせ"ではなくて"欲"でした。お遍路してても欲と煩悩にまみれたワタシはなかなかそれらを脱ぎ捨てることができません。
一日歩いてお風呂につかり「あーきもちいー」て思ったり、汗みどろの一日を振り返ってビールを飲んだときに「あーおいしー」と思ったり、とにかく「今、ウレシー!!」って思えることが"しあわせ"かも…って思ったりしながら歩いてました。
Commented by はりQ at 2008-09-04 11:37 x
>コイケダねーさん
うんうん。そういうのってありました。
畑仕事してるおっちゃんに「おへんろさーん。こっちの道やでー」って声をかけられるだけでしゃくりあげるほど泣いていた前回遍路行。今回はじぃ~んくらいでがまんできるようになりました(オトナになったのかしら?)
でも、一本杉庵で下から見上げたときのお大師さんと、鶴林寺目指す途中は号泣でした。
お四国は、涙腺をもろくさせますな。
Commented by 2巡目の遍路 at 2009-01-14 17:22 x
しあわせって遍路をしていなくても考えますよネ。
私が思うしあわせ感は、般若心経のなかにうたわれております。
Commented by ke-ko63 at 2009-01-15 10:18
>2順目の遍路さん
今回からやっとぼそぼそと唱え始めた般若心経。
すいません。修行がちぃーっとも足りませんね。ワタシ。(´・ω・`)
Commented by 2巡目の遍路 at 2009-01-15 14:33 x
急いで答えを探さなくてもOK。
私が思う幸せって、職場の人にちょこっと話したりしますが、なかなか、そこまで思い切れませんといいかえされています。
なんか、極限状態における2者択一問題みたい。
なんだって。
Commented by ke-ko63 at 2009-01-15 21:27
>2巡目の遍路さん
極限状態における…
ど、どんなんなんでしょうか?
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